朝比奈大龍勢の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 05:39 UTC 版)
発祥は戦国時代に現在の静岡県藤枝市岡部町に居を構えた今川氏家臣の朝比奈氏と岡部氏が用いた緊急連絡用の狼煙が起源とされる。 岡部町では大字単位で「龍勢連」と呼ばれるグループが地域住民により形成され、各龍勢連ごとに伝承される技法にて製造を行う。朝比奈大龍勢の開催に併せて、各龍勢連には個人や地元の中小企業がスポンサーとして名を連ね、龍勢連から選抜された呼出の独特の口上によってその龍勢の仕掛けの特徴を暗示した短歌やスポンサー名が読み上げられ、打ち上げが行われる。 朝比奈大龍勢は昼の部と夜の部に分かれてそれぞれ約10発から15発前後が打ち上げられる。仕掛けは昼の部は煙幕付きの落下傘が複数宙を舞う「煙龍」、夜の部は落下傘部分が発光する「花笠」や落下傘に吊された紐の部分が発光する「連星」などが中心でそれぞれ特色の違いが見られる。打ち上げから打ち上げ完了が呼出に宣言されるまでは、長いもので5分以上に及ぶことがあり、その間に龍勢本体を含む各落下傘からは連続して仕掛けが作動し、その光景を呼出が実況するのが基本的な流れである。各龍勢の打ち上げにあたっては、15分から20分程度のインターバルがあるため、夜の部では通常の打ち上げ花火やスターマインなどがインターバルの間に打ち上げられる。この打ち上げ花火も龍勢の打ち上げ同様、呼出によって概要やスポンサーの口上が行われる。 悪く言えば素人が製造するもののため、必ずしも龍勢連の意図通りに打ち上げが完了するとは限らず、仕掛けや落下傘が開かないまま龍勢が地上に墜落したり、上昇途中もしくは発射台でそのまま爆発するなどの打ち上げ失敗もしばしば見受けられる。完全に仕掛けが稼働して打ち上げが成功した場合、呼出は万歳三唱で成功を祝うのが通例となっている。
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