有理点の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 09:49 UTC 版)
最も重要な結果は、全ての点が、有限個の点から出発する接線と割線の方法(the method of tangents and secants)により生成できるということである。より詳しくは、 モーデル・ヴェイユの定理が、群 E(Q) が有限生成アーベル群であることを示している。一般に、有理数体以外の代数体 K に対しても群 E(K) は有限生成アーベル群である。 従って、有限生成アーベル群の基本定理により、これは Z のコピーと有限巡回群の有限の直和である。 定理の証明は、2つの部分からなっていて、一つ目は、任意の整数 m > 1 に対し、商群 E(Q)/mE(Q) は有限であること(弱いモーデル・ヴェイユの定理)、二つ目は、有理点 E(Q) の上の高さ関数 h が上記のように定義されているとき、任意の定数より小さな高さを持つ点は E 上に有限個しか存在せず、また h(mP) はおよそ m の二乗に比例して増加するという性質である。 定理の証明は無限降下法の変形の一種で、E へのユークリッドの互除法の繰り返しの適用となっている。P ∈ E(Q) を曲線の有理点とし、P を 2P1 + Q1 と書くことにする。ここに Q1 は E(Q)/2E(Q) の P の固定された代表元である。すると P1 の高さは、P の高さのおよそ 1⁄4 となる(より一般的には、任意の m > 1 である m を 2 の替わりとすると、1⁄4 の替りに 1⁄m2 となる)。同じように P1 を P1 = 2P2 + Q2 と書き、P2 を P2 = 2P3 + Q3 と書き、と繰り返していくと、最終的には P は、点 Qi と、高さが事前に選択したある定数より小さいような点の、整数係数の線型結合となる。弱い形のモーデル・ヴェイユの定理と高さ関数の第二の性質により、P はある決められた有限個の点の整数係数の線型結合として表される。 これまでに、E(Q)/mE(Q) の代表元を決定する一般的なプロセスが知られていないので、この定理は有効である(計算可能である)とは言えない。 E(K) の中の Z のコピーの数、同じことであるが無限位数の独立な点の個数を、E(K) の階数あるいはランク(英語版)と呼ぶ。また、E(K) の中の有限巡回群の有限個の直和となっている部分はE(K)の有限位数の点全体からなる部分群に対応する。そこでこの部分をねじれ部分群といい、E(K)の有限位数の点をねじれ点ともいう。したがって E(K) のランクを r とおくと、E(K) 上の点 P 1 , P 2 , ⋯ , P r {\displaystyle P_{1},P_{2},\cdots ,P_{r}} をうまくとれば E(K) 上の任意の点 P は P = m 1 P 1 + m 2 P 2 + ⋯ + m r P r + T {\displaystyle P=m_{1}P_{1}+m_{2}P_{2}+\cdots +m_{r}P_{r}+T} とあらわすことができる。ここでTはねじれ点である。このとき、標準的高さは h ^ ( m 1 P 1 + m 2 P 2 + ⋯ + m r P r + T ) = ∑ i = 1 r m i 2 h ^ ( P i ) + ∑ 1 ≤ i < j ≤ r m i m j ⟨ P i , P j ⟩ {\displaystyle {\hat {h}}(m_{1}P_{1}+m_{2}P_{2}+\cdots +m_{r}P_{r}+T)=\sum _{i=1}^{r}m_{i}^{2}{\hat {h}}(P_{i})+\sum _{1\leq i
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