時代・様式での違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/15 20:47 UTC 版)
ロマネスク・ビザンティン・ゴシックなどの様式の教会・カテドラル・修道院に多くみられる。 ローマ建築では、壁面にベンチを備え、談話室や会議室として使用したエクセドラとして、あるいはバシリカでは行政長官の座所として使用された。構造体から半円形に突出することが多いが、簡単なものでは壁に設けられたニッチ状になっている。 初期キリスト教建築の聖堂では、アプスの壁面に階段状のシントロノンを設ける、あるいはアプスの床面を持ち上げてプレスビテリウムや司教座を設けるなどの措置が行われている。また、テンプロンによって(のちの時代になるとイコノスタシスによって)内陣と区切り、内部をモザイクなどで豪華に装飾した。ビザンティン建築の聖堂では、両側にパストフォリア(北側をプロテシス、南側をディアコニコンと呼ぶ)を設けるため、教会堂東側に3連の後陣があるように見える。これは正教の聖堂の伝統的な平面となったため、正教会の影響を受けた聖堂は、おおむねこのような形状を有する。 西ヨーロッパでは、シトー会教会堂で方形のアプスが設けられている。時代が下ると、このアプスと袖廊の間に垂直の仕切りが形成されるようになり、しだいに教会空間内のアプスの重要性は低下、内陣の小礼拝室的な扱いとなっていく。12世紀には、内陣周囲を囲む周歩廊に取り付く小礼拝室(後陣)の集合体であるシュヴェと呼ばれる形式が一般化したが、ゴシック建築ではアプスと内陣の区分がほとんど廃れてしまった。奥行きの深い内陣部の形式が好まれるようになったため、アプスの存在はほとんど意識されない。
※この「時代・様式での違い」の解説は、「アプス」の解説の一部です。
「時代・様式での違い」を含む「アプス」の記事については、「アプス」の概要を参照ください。
- 時代・様式での違いのページへのリンク