日本民俗学の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:07 UTC 版)
都市化によって民俗学が主たるフィールドとしてきた閉鎖性の高い農村は実質的に消滅し、一見伝統的な生活様式を保っているように見える地域にも、過疎化や観光開発、産業構造の変化等、古いタイプの民俗調査ではカバーしきれない状況が生まれつつある。また民俗学の黎明期には日本の人口の多くを占めてきた農村人口も、現在では都市人口に圧倒され、都市住民および都市の生活様式が一般性を持つに到った。こうした対象の変化に対して、現代の民俗学はさまざまな新分野を開拓しつつある。 「民俗の消滅」が盛んに議論された1970年代〜80年代にかけては、都市民俗学のブームやアメリカ民俗学の影響を受けた都市伝説研究の隆盛が見られた。また1990年代以降は観光人類学の影響を受けた地域開発・観光化の研究、文化財制度の研究等、現代社会のシステムと地域の関係を問う動きが増加する。更に同時期には国民国家論批判の文脈から柳田國男の民俗学観の批判的検証が盛んに行われ、柳田民俗学が中心的に扱ってこなかった漂泊民などのいわゆるサンカ、「非常民」、性を主題とする研究に焦点が当てられることも増加した。 また、韓国や台湾、中国、モンゴル、東南アジアなどで比較民俗学の観点から実地調査を行ったり、ヨーロッパの村落を調査する試みも現れている。
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