日本の鳴く虫文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 03:48 UTC 版)
万葉集(8世紀後半、奈良時代)にはコオロギの歌が7首ある。11世紀末(平安時代)ごろから、鳴く虫を採り宮中へ献上する「虫撰(むしえらみ)」が始まり、捕らえた虫を庭に放して声を楽しむ「野放ち」や、 野に出て鳴き声を聴く「虫聞き」などが行われた。『源氏物語』(1008年)には採ってきたスズムシやマツムシの鳴き声を楽しむ様子が書かれている。 江戸時代になると、貴族や大名の鳴く虫を楽しむ文化が庶民にも広がり、日本各地の虫聴きの名所に人が集まるようになる。飼育技術も進歩し、江戸時代の中期には竹細工の虫かごに入れたキリギリス、マツムシ、スズムシ、クツワムシ、セミなどが「虫売り」たちによって庶民に売られるようになった。18世紀後半から19世紀前半に越冬中の卵を暖め早く孵化させる促成法が確立し、早期に出荷することで高値で取引された。やがて江戸の鳴く虫文化は全国に広がり、各地の虫たちは流通網にのって移動し、お盆が来れば野外に放された。日本の鳴く虫文化は明治、大正、戦前の昭和初期まで続き、近代化とともに衰退していく。しかし、依然として愛好家は多く、各地で鳴く虫を題材にしたイベントが行われている。
※この「日本の鳴く虫文化」の解説は、「虫の音」の解説の一部です。
「日本の鳴く虫文化」を含む「虫の音」の記事については、「虫の音」の概要を参照ください。
- 日本の鳴く虫文化のページへのリンク