日本の繁殖地と日本文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 22:13 UTC 版)
「カブトガニ」の記事における「日本の繁殖地と日本文化」の解説
佐賀県伊万里市伊万里湾は、日本最大の生息・繁殖地とされており、当地の方言では「ハチガメ」と呼ばれる。伊万里市街地から程近い湾内の多々良海岸周辺296,250平方メートルの繁殖地の個体が、市の天然記念物として指定されていたが、2015年(平成27年)6月に市の指定地を含む約58万2千平方メートルの範囲が、新たに国の天然記念物に指定された。毎年6月から8月の大潮日の満潮時に、カブトガニがつがいで浜にやってきて産卵する姿を見ることもできる。7月中旬から8月上旬の大潮日の後1週間が産卵のピークとされており、伊万里市では毎年「カブトガニの産卵を観る会」が開催されている。市内には牧島のカブトガニとホタルを育てる会が運営する伊万里湾カブトガニの館にてカブトガニを飼育しており、見学が通年可能となっている。 岡山県笠岡市も国内の代表的な生息地・繁殖地で、2015年(平成27年)までは日本で唯一、国の天然記念物に指定されていた。方言では「ドン亀」と呼ばれていたが、笠岡湾干拓の影響もあって、同地での生息状況は絶滅寸前である。同地には、笠岡市立カブトガニ博物館があり、ゆるキャラのカブニくん、カブ海(み)ちゃん、2人が結婚して生まれたカブ希(き)くんは当館のマスコットである。また、JR西日本山陽本線笠岡駅では、接近メロディに「がんばれカブトガニ」(カブトガニを愛する会提唱、作詞・作曲 上田康弘、編曲 酔太一)が使われている。 愛媛県西条市では、カブトガニはオスとメスが重なっているところから、夫婦仲がよく縁起の良いものとされる。年初めの漁で網にカブトガニのつがいがかかるとその年は豊漁となると伝えられ、神棚に酒を供えて祝う風習があったという。現在では伊万里市や笠岡市同様に干拓が進んだ結果、生息数が激減し絶滅寸前であるが、西条市では「東予郷土館」にてカブトガニを飼育しているほか、河原津海岸で幼生を放流したり、市民向けに幼生の飼育ボランティアを募集するなどの取り組みを行っている。また、カブトガニをモチーフとしたご当地ゆるキャラ、「カブちゃん」がPRに努めている。 和漢三才図会では、大きな雌の上に小さな雄が常に乗っている生態から「故ニ閩人婚禮ニ之ヲ用ユ」としている。
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