日本の列車便所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 08:53 UTC 版)
短距離向けの通勤用車両の一部を除いて、日本の旅客用鉄道車両の多くは車内に乗客用の便所を設置している。それらは車両内の限られた空間に設置される必要性から、通常の建築物に設置される便所とは多分に異なる性格を有し、独特の発達を遂げてきた。 日本の鉄道では階段状の床板に填め込まれた和式両用便器か、もしくは洋式便器を設置するのが普通で、室内片隅には小型の手洗器が設置されている。また特急列車などの優等列車に設置される列車便所は、多くの場合隣接する形で洗面所室が設けられている。 通勤形車両については本数が多く、乗車距離が短い大都市への導入がほとんどであるため便所が設置されることはあまりないが、地方では乗車距離が長い傾向にあるため設置される場合がある。国鉄・JRにおいては、国鉄時代は気動車であるキハ35形とキハ38形0番台では長距離運用が想定されたため、製造時から便所が設置され、旧型国電の通勤形においても地方への転出に際して一部車種に設置した事例はあるが、新性能電車で便所を設置した事例はない。ただし国鉄分割民営化後には103系・105系・205系の一部に便所を取り付けた改造車が登場した。JR発足後は、地方でも通勤形車両が導入されるケースが増加したため便所付きの通勤形車両が増加している。 列車トイレで使用されるトイレットペーパーは一部の列車を除き設置されていないケースが多かったが、現在では追設または車両新製当時などから既に設置されているケースが増えつつある。またかつては、鉄道駅構内のトイレにおいてもペーパーの設置が行われず、代わりに入口にちり紙の自動販売機を設置する事例が多かったが、2000年代から2010年代にかけては設置される事例が増加している。旧国鉄時代から現在のJRや各私鉄各社が使用するトイレットペーパーのメーカーはダイオーペーパープロダクツ(旧・日清紡)の「白樺」が多かったが、現在はそれ以外の多数メーカーも使用している。JR九州では駅のトイレも含め、乗車券をリサイクルした再生紙トイレットペーパー「きっぷうまれ」を使用している。
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