旅行者下痢症
海外旅行者がおこす下痢を旅行者下痢症と呼び、感染性腸炎がその大部分を占める。途上国に1カ月間滞在した旅行者の約30%以上が、本症を発症するとされている。病原体としては病原性大腸菌、サルモネラ菌、キャンピロバクターなどが多く、通常は数日の経過で軽快するが、赤痢菌やコレラ菌などにより、重篤な症状を呈する例も時にみられる。原虫や寄生虫が原因になる下痢は慢性の経過を辿ることが多い。
本症の予防にはミネラルウオーターや煮沸した水を飲用すること、食品はなるたけ加熱したものを摂取することなどが重要なポイントである。食事をする店も衛生状態の良い店を選ぶよう心がける。リスクの高い旅行者には止痢剤(乳酸菌製剤など)を持参させ、症状があれば服用させるようにする。下痢が強い場合は、電解質飲料などで水分補給に努めるように指導する。
帰国後に下痢症状を呈している患者については、便の細菌培養と寄生虫検査(直接塗沫法、集卵法)を行い病原体を明らかにする。暫定的な治療には、ニューキノロン系抗菌剤やアジスロマイシンが推奨されている。(濱田篤郎)
参考:検疫所ホームページ http://www.forth.go.jp/tourist/useful/03_t_lo.html
旅行者下痢症と同じ種類の言葉
Weblioに収録されているすべての辞書から旅行者下痢症を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 旅行者下痢症のページへのリンク