新技術による製造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 16:14 UTC 版)
「インフルエンザワクチン」の記事における「新技術による製造」の解説
鶏卵を用いた手法は、大規模な製造に向いておらず、また接種者に卵に対する食物アレルギー反応を引き起こす可能性や、ニワトリを含む鳥類に影響を及ぼす鳥インフルエンザウイルス株と不適合性である問題も生じており、解決が求められている。また、特定の株に対してのみならず、幅広い種類のインフルエンザウイルスに対して効果的である「普遍的な」ユニバーサルインフルエンザワクチンの開発の研究も続けられている。(詳しくは研究節参照) 卵の必要性を代替するワクチンの生成方法には、インフルエンザの「ウイルス様粒子」(VLP)の構築法が含まれる。VLPはウイルスの構造に似ているが、ウイルスの遺伝子コードを含まず、ウイルス粒子と同様の方法でヒトの免疫系に対して抗原を提示するだけであるため、不活性化をする必要はない。 VLPを産生するいくつかの方法には、昆虫細胞(ツマジロクサヨトウ、ガの一種)や植物(ベンサミアナタバコ、タバコの一種)を活用した培養方法が存在する。2013年1月17日には、アメリカ食品医薬品局 (FDA) が、卵の代わりに昆虫細胞で製造された季節性インフルエンザワクチンであるFluBlokを承認している。この製品は、卵が製造過程において使用されていないため、卵アレルギーの問題を回避することができる。 DNAの逆転写技術を用いた細胞培養によるワクチンの製造は、製造速度がより速くなることが期待されており、2011年付で、安全性と有効性を決定する臨床試験が行われている。 2012年11月20日には、最初の細胞培養ワクチンFlucelvaxが、製薬メーカーのノバルティスによって、アメリカ食品医薬品局 (FDA) の承認を受けている。その後、ノバルティス社のインフルエンザワクチン製造部門は、アメリカの製薬メーカーであるCSLベーリングによって買収され、現在ではCSLベーリングの設立したSeqirusが事業を引き継いでいる。 このような細胞培養によって作成されるワクチンは、世界的大流行(パンデミック)の際に大量のワクチンが早急に必要な場合にも、適切かつ迅速な供給を維持できることが期待されている。副反応についても、従来型ワクチンとほぼ同等程度とされている。ただし、FDAによる最初の承認では、18歳以上だけが使用の対象とされている。
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