新宗教と千年王国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 21:03 UTC 版)
キリスト教の千年王国説とは区別されてはいるが、新宗教に独自の千年王国を主張する者がいる。また大ドイツ国は第三帝国を千年王国と称したが、ノーマン・コーン等によればマルクス主義にも千年王国と同様の思想が見られる。この説を受けた三石善吉によれば、中国の太平天国の乱は元より、仏教の弥勒思想に千年王国思想を刺戟伝播して発生した大乗の乱等に、千年王国思想が見られる。千年王国思想は 1. 信徒が享受するもので、 2. 現世に降臨し、 3. 近々現れ、 4. 完璧な世界であり、 5. 建設は超自然の者による という共通した世界観を持ち、 a. この世は悪に染まっており、 b. 全面的に改変する必要があり、 c. それは人間の力では不可能で、神のような者によらねばならず、 d. 終末は確実に、そろそろやってきて、 e. 来るべきミレニアムでは、信徒以外は全員居場所を失う、 f. そのため、信徒を増やすべく宣伝しなければならない。 という「症状」を伴う。これをふまえると、1818年のセイロンの大反乱、1902年のピー・ブンの乱、1930年のサャー・サンの乱、ヴェトナムの宝山奇香(英語版)も含まれる。というより、「千年王国の影響のない時代を探す方が難しい」(マイケル・バークン)ほどだという。安丸良夫は、出口なおの神掛かりによって誕生し大正時代~昭和初期に爆発的発展を遂げた新宗教「大本」の原教義は、上記の千年王国思想とよく一致すると指摘する。第一次世界大戦以降の大本(当時は皇道大本)は「大正十年立替説」という激烈な終末論を展開して大反響を引き起こし、1921年(大正10年)の第一次大本事件を招いた。弾圧から立ち直った1930年代初頭の大本は教祖出口王仁三郎の指導により超国家主義運動団体へと変貌する。安丸は国家主義的神道説と千年王国救済思想が結びついて発展した大本に対し「日本近代史の特徴を考えるうえで注目に値する」と述べる。
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