政治的儀礼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/07 01:30 UTC 版)
人類学者クリフォード・ギアツによれば、政治的儀礼は実際に権力を作り上げている。バリの国家についての彼の分析において彼が述べるところによれば、儀礼は政治権力の飾りではなく、政治的権力者の権力は儀礼を作り上げる能力にかかっている。儀礼において、王を頭に頂く社会的ヒエラルキーが自然で聖なるものと感じられるような宇宙的フレームワークが作り出されるのである。「権力のドラマトゥルギー」として、包括的な儀礼システムは、支配者を神的存在として他と区別するような宇宙的秩序を作り上げることもある。よい例がヨーロッパの「神授王権」や日本の天皇である。政治的儀礼はまた、官僚たちによるコード化された、もしくはコード化されていない慣習として現れることもある。これは制度または役割の整備について、それをその時点で担っている個人への尊敬の念を固定化するもので、国会などの手続きに今でも見られるものである。 儀礼はまた、抵抗の一形態として使用されることもある。これはたとえば、南太平洋の各地で植民地権力に対して行われた各種のカーゴ・カルトにおいて見られる。このような宗教的=政治的運動において、島の人々は欧米の実践の儀礼的模倣物(たとえば滑走路など)を使用し、カーゴ(工業製品)が得られるように先祖たちに祈った。これらのグループのリーダーたちは現在の状況(多くの場合植民地の資本家によって押しつけられた状況)を古来の社会秩序の解体として捉え、古い秩序に戻ろうと呼びかけたのである。
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