操縦困難
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 16:23 UTC 版)
「アメリカン航空96便貨物ドア破損事故」の記事における「操縦困難」の解説
一方、操縦室では困難な状態が続いていた。方向舵は動かず、機体は右へ傾いたままで、水平安定板も作動しなかった。ただ昇降舵は反応こそ非常に鈍いものの動きはした。機長はかろうじて使える補助翼とエンジン推力の操作で機体を制御していた。DC-3やボーイング707にも乗務してきた機長は、油圧のみで操縦する第3世代のジェット旅客機に不安を覚え、油圧が全て失われた事態を想定したシミュレーション訓練を行なっており、その経験が生かされたのである。機長は天候の良くないデトロイトを避け、他の空港への着陸を望んだが、結局クリーブランド管制からのレーダー誘導に従って、デトロイトへ引き返すことにした。方向舵が作動しないため15度しかバンクできず、昇降舵も十分に機能しないのでゆっくりと降下させるしかなかった。機長は管制の「アメリカン96、緊急事態の内容は?」という質問に対し、「方向舵が利かない。あれこれめちゃくちゃだ。何かが起こったのだが、何がどうなっているのか分からない」と答えていた。後に主任客室乗務員からコックピットに対して「機体後方に穴が開いている」ことが伝えられた。被害状況はクルーの想像以上に大きななものであった。
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