掲載差し止め請求問題
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「弁護士のくず」の記事における「掲載差し止め請求問題」の解説
2008年2月13日、弁護士の内田雅敏が「1月5日号から連載された3話のストーリーが、自著の『乗っ取り弁護士』に酷似しており、著作権を侵害している」と主張して、『ビッグコミックオリジナル』発行元の小学館と作者の井浦に対し、第4話の雑誌掲載と単行本収録中止を求める仮処分申請を東京地方裁判所に申し立てた。しかし東京地裁が最終話掲載誌の発売までに結論を出さなかったため、全話が予定通り掲載された。そのため、同年3月3日に内田側は仮処分申し立てを取り下げ、正式に提訴した。 井浦と小学館側は、東京地裁で開かれた第1回口頭弁論(同年4月18日)で「両作品の類似点は実在の事件のものであり、似ていても著作権侵害にはなり得ない」として全面的に争う姿勢を見せ、2009年12月24日、「漫画の表現は内田氏の著書と似通った表現が使われている部分があるが、実在の事実を選択して記述しており、内田氏の創作的表現を用いたわけではない」として、内田の請求を棄却する判決が出された。 『ビッグコミックオリジナル』2010年2月5日号には井浦と小学館代理人のコメント が掲載されたが、挿絵として井浦と、登場人物の九頭と武田が描かれており、九頭の台詞として「公開された社会的事実は誰が参考にしてもいい、…という当たり前のことが確認されたってことだ」と書かれている。単行本第10巻初版の帯にも裁判経緯とともに描かれている。 内田はこの判決を不服として控訴したが、知的財産高等裁判所は2010年6月29日に東京地裁の一審判決を支持し、控訴棄却した。さらに、最高裁判所第一小法廷は、内田の上告申立を受理しなかったため、同年11月18日に地裁判決が確定した。 該当のエピソード「蚕食弁護士」は、単行本収録は見送られていたが、裁判の勝訴確定を受けて『弁護士のくず 第二審』第2巻(2010年12月発刊)に収録された。
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