指揮監督権の範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 17:01 UTC 版)
ロッキード事件とその一連の裁判においては、内閣総理大臣の指揮監督権を巡って、これを根拠に田中角栄元総理に対する賄賂罪が成立するがどうかが焦点の一つとなった。すなわち、ロッキード社からその販売代理店の丸紅や複数の「裏の代理人」を介して田中に渡った5億円と、田中が運輸大臣に対して全日空にロッキード社製のL1011トライスター機の購入を勧奨するよう働き掛けた行為の間には、賄賂罪における「職務行為」が成立するとして一審の東京地方裁判所は田中に対し受託収賄と外国為替及び外国貿易法違反の有罪判決を下したのに対し、被告側はその因果関係を否定して真っ向から対立した。裁判は二審の東京高等裁判所が控訴を棄却した後最高裁判所で争われたが、その最中に田中が死去したことにより公訴棄却となった。 しかし、最高裁は田中の秘書官・榎本敏夫と丸紅社長・檜山広の上告審において、憲法第66条・第68条・第72条及び内閣法第4条・第6条・第8条の規定から「内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である」として、一審の原判決は正当であるとの判断を示した(最高裁判所平成7年2月22日大法廷判決)。
※この「指揮監督権の範囲」の解説は、「内閣法」の解説の一部です。
「指揮監督権の範囲」を含む「内閣法」の記事については、「内閣法」の概要を参照ください。
- 指揮監督権の範囲のページへのリンク