抗アンドロゲン作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 14:46 UTC 版)
アンドロゲン受容体(AR)の選択的(英語版)競合的完全遮断薬として作用する。活性代謝物であるヒドロキシフルタミドは、フルタミドよりもARに対する親和性が10-25倍高く、比較すると遥かに強力なAR遮断薬である。しかし高濃度の場合、ヒドロキシフルタミドはフルタミドと異なりARに対し弱い活性化作用を持つ。フルタミドは、スピロノラクトンや酢酸シプロテロンのようなステロイド系抗アンドロゲン薬よりもARに対する親和性が遥かに低く、重量比では比較的作用が弱いが投与量によってこれを補っている。プロゲステロン、エストロゲン、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドの各受容体とは相互作用せず、本質的なプロゲストーゲン作用、エストロゲン作用、糖質コルチコイド作用、抗性腺刺激ホルモン作用を持たない。しかしAR阻害によるエストラジオール濃度の上昇を介して間接的にエストロゲン作用を示す事があり、これが女性化乳房の発生に関与していると考えられる。ステロイド系抗アンドロゲン薬とは対照的に、エストロゲン作用、黄体形成作用、抗性腺刺激ホルモン作用を持たないため女性の月経不順を引き起こす事はない。フルタミドは、ニルタミド、ビカルタミド、エンザルタミドと同様に、血液脳関門を通過し、中枢性の抗アンドロゲン作用を発揮する。 フルタミドは抗アンドロゲン薬として、酢酸シプロテロンと同等か僅かに強く、スピロノラクトンよりも遥かに強い事がバイオアッセイにおいて判明している。しかしヒドロキシフルタミドのARに対する親和性は、酢酸シプロテロンに比べて10倍程度低い。ビカルタミドと比べても2-4倍程度低く、また、ビカルタミドの消失半減期が約6日であるのに対し、ヒドロキシフルタミドは約8-10時間と、約17倍の差がある。また、ビカルタミド50mg/日とフルタミド750mg/日の用量(15倍の差)では、定常状態でのビカルタミド血中濃度はフルタミドの約7.5倍となることが知られている。更に、前立腺癌患者の前立腺特異抗原値は、フルタミドがこの用量で75%低下するのに対し、ビカルタミドは90%低下することが確認されている。また、前立腺癌を対象とした大規模臨床試験において、ビカルタミド50mg/日はフルタミド750mg/日と同等以上の効果があることが確かめられた。その上、ビカルタミドは、ラットではフルタミドの5倍、イヌではフルタミドの50倍の効果がある事が示されている。以上の事から、フルタミドはビカルタミドに比べて抗アンドロゲン薬としての効力はかなり低いと考えられる。 前立腺肥大症および前立腺癌の男性を対象とした単独およびGnRH受容体作動薬併用による用量設定試験(英語版)が実施されている。 非去勢雄ラットにおいて、テストステロン値を5-10倍に増加させる。
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