抗アンドロゲン薬・抗糖質コルチコイド薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:53 UTC 版)
「ケトコナゾール」の記事における「抗アンドロゲン薬・抗糖質コルチコイド薬」の解説
ケトコナゾールの副作用は真菌感染症以外の病態の治療にも応用し得る。ケトコナゾールは真菌のエルゴステロール合成を阻害するが、ヒトに高用量(>800mg/日)投与するとコレステロールをステロイドホルモン(テストステロンやコルチゾール等)に変換するのに必要な酵素群を阻害する。具体的には、コレステロールからプレグネノロンを生成するコレステロール側鎖開裂酵素、プレグネノロンをアンドロゲンに変える17α-水酸化酵素と17,20-分解酵素、11-デオキシコルチゾール(英語版)をコルチゾールに酸化する11β-水酸化酵素(英語版)を阻害する。これらの酵素はいずれも、ミトコンドリアに存在するシトクロムP450である。これらの抗アンドロゲン作用、抗糖質コルチコイド作用(英語版)に基いて、ケトコナゾールを進行前立腺癌の第二選択薬として用いた例や、クッシング症候群の治療(糖質コルチコイド産生抑制)に用いた例がある。しかし、前立腺癌の治療に用いる場合には急性副腎不全を防止するために糖質コルチコイドを併用する必要がある。ケトコナゾールは低用量で多毛症の治療や、GnRHアナログ(英語版)との併用で精巣中毒症(英語版)の治療に用いられた。いずれの場合でも、肝毒性(英語版)の危険性が使用の足枷となった。特に多毛症の様な非致死的な疾患では、肝毒性の危険は服用の利益を上回らない。
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