技術論 Ge-stell
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:40 UTC 版)
「マルティン・ハイデッガー」の記事における「技術論 Ge-stell」の解説
すでに1930年代の覚書でも書かれていた算定性の組織化が、さらに熟考をされ、Ge-stellとして概念化された。日本語訳は「集-立」「立て組」「総かり立て体制」などがある。Ge-stell は、ユンガーの『労働者』に影響を受けている。ユンガーは『労働者』のなかで「技術とはその内で労働者の形態が世界を動員する仕方である」と述べている。Ge-stellの先駆概念としては「工作機構 (Machenschaft)」がある。 人間は、自然を最大限の効率で役立つものにすべく、露わに発き(あらわにあばき)挑発し集め-立たせる。同時に、人間は、自己に対して、それを遂行する役立ち得る主体として、仕立て、挑発し、集め-立たせる。これらは、絶えざる挑発の派生として、呼びかなめとしてなされる。そのようにして、全体は、抜け目なく駆り立たされ、役立ち得る主体として、人間は発かれ淘汰されることとなる。ここには、真理にとって最高の危険が存している。近代社会における命運が、ここでは端的に表されることとなった。集-立である存在忘却への追い遣りは、存在自身の自己拒絶に至る。このとき、危険の転向が、急遽現れ起こる。存在忘却は、世界(現-存在)による存在の成否の見護り、存在の真理による見護りなき存在への見入り(存在の真理の閃き)に転回する。この見入りの瞬きの出現において、人間は、我執を去って、その瞬きの呼び求めに応答し、自己を棄て-投げる。かく応答しつつ、人間は、神的なるものに目見える自己となる。ここには、1930年代後半からの存在の思索の1960年代までにいたる継承と発展がみえる。 1953年の「技術への問い」では、西欧形而上学思想を「別の思考」の可能性において開くという計画を述べており、ソクラテス以前の哲学者やアリストテレス、ショーペンハウアーが「充足理由律の四つの根拠について」における省察やニーチェによる因果性への批判をもとに、物理的原因(ヒュレー、質料)、形式的原因エイドス(形相)、最終原因(テロス)、効果的原因の四つのタイプに原因を分けた。
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