技術的比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 01:40 UTC 版)
普通のダイオードでは、順バイアスでは電流が流れ、逆バイアスでは流れない。しかし、「逆方向降伏電圧」を超えると電流が流れ始める(通常、同時に電子部品としての破壊が起きる)。トンネルダイオードでは逆方向降伏電圧がゼロとなるまでP層とN層のドーパント濃度を高め、逆方向では常に導電性を示すようになっている。しかし順バイアスでは「トンネル効果」という現象が起き、電圧を高くすると電流が小さくなるという電圧範囲が存在するようになる。この負性抵抗領域を利用して、四極真空管ダイナトロンを使った発振回路の半導体版を実現できる。 トンネルダイオードは四極管より遥かに高い周波数でも動作できるため、マイクロ波帯で動作する発振回路やトリガー回路に使われた。用途としては、UHFテレビチューナーの局部発振器、オシロスコープのトリガー回路、高速カウンタ回路、立ち上がり時間が非常に高速なパルス発振回路などがある。また、低雑音マイクロ波増幅回路にも使える。しかしその後、より一般的な発振回路に使える半導体素子が開発され、トンネルダイオードの性能を上回るようになっていった。多くの用途で3端子の電界効果トランジスタの方が2端子の素子よりも柔軟性がある。実用的なトンネルダイオードは数ミリアンペアと1ボルト未満の低出力でしか動作できない。ガン・ダイオードも高周波で動作できるという点は同じだが、もっと高出力が可能である。 トンネルダイオードは他のダイオードに比べて放射線に耐性がある。そのため宇宙用など放射線にさらされる環境でよく使われている[要出典]。
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