打ち上げ時の異常
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/11 23:04 UTC 版)
シャトルの燃料タンクから断熱材が脱落するビデオ。 離床から約2.5秒後に、外部燃料タンクの先端付近に大きな鳥が衝突し、タンクの横を滑り落ちるのがビデオで撮影された。オービタに衝突したわけではなく、その時の速度もまだ遅かったため、NASA はミッションには影響はないと判断した。 固体ロケットブースタ (SRB) の分離直前に、前脚ドア付近から1.5インチ (38mm) ほどの耐熱タイルの破片が脱落した。破片が脱落したためタイル上に小さな白い領域が現われ、脱落した破片がビデオの1フレームに映っていた。3日目にISSから望遠カメラで撮影した画像をダウンロードして、破損したタイルが詳しく調べられた。技術者はこの領域を OBSS で点検するよう求め、フライトマネージャは4日目の7月29日に点検を行った。 離床から127.1秒後、SRB の分離から5.3秒後に、外部燃料タンクの PAL ランプから大きな破片が脱落した(左上のアニメを参照)。この破片は大きさが 36.3 x 11 x 6.7 インチ (922 x 279 x 170 mm)、重量が約 1 lbs (0.45 kg) でコロンビア号事故の原因となった断熱材の約半分と推測された。この破片はディスカバリーのオービタには衝突しなかった。外部タンクの分離後に撮影された写真からは、断熱材の脱落箇所が何箇所も見つかった。 そのさらに約20秒後に、外部タンクから分離した断熱材の小さな破片がオービタの右翼に衝突した。断熱材の質量と衝突時の速度を元にした NASA の推測では、損傷が起こりうるエネルギーの10分の1にも満たなかった。OBSS を使ったレーザースキャンと画像診断を行ったが、損傷はまったく見つからなかった。 7月27日に NASA は、断熱材の脱落問題が解決するまで、シャトルの飛行をすべて延期すると発表した。しかし、検討の結果、PALランプを以後のフライトでは除去する事にした事と、ハリケーン・カトリーナがメキシコ湾岸を襲ったため、次のSTS-121の打ち上げは予想よりも遅れることになった。ロッキード・マーティン社のミシュー組立工場とミシシッピ州にあるNASAのステニス宇宙センターがハリケーン・カトリーナとその氾濫により損害を受け、STS-121の打上げは、結局1年後の2006年7月4日まで遅れた。
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