戦前の料理書に見えるトマトソーススパゲッティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 21:04 UTC 版)
「ナポリタン」の記事における「戦前の料理書に見えるトマトソーススパゲッティ」の解説
『vesta』編集部によれば、1905年(明治38年)に西洋酒食料品雑貨を輸入していた「亀屋」が発行した非売品の本『佛国料理 家庭の洋食』に、トマトソースを用いた「スパゲット・アラ・イタリアン」という料理が紹介されている。これはマカロニの代わりにスパゲッティを用いた、トマトソースのグラタン風の料理である。 1927年(昭和2年)の若林ぐん子『欧米の菓子と料理』には、「ナポリ式スパゲッチ」という料理が紹介されている。これはベーコン、タマネギ、トマト缶、トマトペーストを煮込んでソースを作り、茹でたスパゲッティにかけるものだった。 また、『婦人之友』1937年(昭和12年)12月号には、スパゲティの代わりにうどんを代用して作る「スパケテナポリタン」という料理が紹介されている。これは肉と脂とニンニクを炒めてから汁だけを残し、トマトを入れて炒め、トマトケチャップ、月桂樹の葉とシェリー酒を加えて湯で伸ばし、塩と胡椒で味付けしてソースとするレシピである。 以上のように、戦前にも「ナポリタン」や類似した名前のパスタ料理は存在した。古川ロッパは、『ロッパ食談』において、戦後のイタリア料理店で供されるスパゲッティやマカロニについて「イタリー料理といへば、われらは、戦争前に、ニューグランドやホテルのグリルで、もっと欧風化した奴を食っている」と記し、戦前のヨーロッパ風のパスタ料理が戦後のパスタ料理とは異なっていたことを証言している。しかし、戦前のこれらのパスタ料理は太平洋戦争によっていったん忘れ去られることになる。大矢は、太平洋戦争によって日本人のそれまでの食文化がいったん完全に破壊されたのだと述べている。
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