惑星上に見られる食
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 20:03 UTC 版)
惑星上に衛星の影が射す現象を衛星の食と呼ぶ。「掩蔽」とは厳密に区別される。 水星と金星は衛星を持たないため、これらの惑星では衛星による食は起こらない。また内惑星が太陽面通過する際に地球上には原理的に内惑星の影が射す(あるいは光量が減っている)ことになるが、変化が小さすぎるため内惑星の影は観測できない。 外惑星は地球に昼の面が向いていれば、望遠鏡により惑星面上に衛星の影が観測できることがある。 火星表面には火星の衛星の影が射すことがある。フォボスの影を参照のこと。 木星や土星などの多くの衛星を持つ巨大惑星では惑星表面に衛星による食が頻繁に起こる。最も特筆すべきは木星での現象である。木星には4個の大きなガリレオ衛星があり、これらの衛星の軌道傾斜角が小さいために食現象が頻繁に見られる。これらの衛星が円形の影を木星表面に落としている光景はよく見られる。 人工衛星の食 静止衛星は地球の赤道上空の軌道にあるため、春分や秋分の前後には地球の夜側の上空(いわゆる地球の影)に、年数回は月の夜側の上空(いわゆる月の影)に衛星が入る時間がある。これを「人工衛星の食」という。衛星食などと呼ぶ場合もある。 問題となるのは、地球から人工衛星が食で見えなくなることではなく、人工衛星から太陽が掩蔽で見えなくなることである。この食の期間は太陽電池による発電が行なえないため蓄電池を用いて運用を行なうが、場合によっては衛星の機能休止を余儀なくされる。例として、日本の放送衛星には1997年まで、衛星の食による放送休止時間(主に2 - 4月と9 - 11月の深夜)が存在した。
※この「惑星上に見られる食」の解説は、「食 (天文)」の解説の一部です。
「惑星上に見られる食」を含む「食 (天文)」の記事については、「食 (天文)」の概要を参照ください。
- 惑星上に見られる食のページへのリンク