微分抵抗と負性抵抗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 02:51 UTC 版)
詳細は「負性抵抗」を参照 電流と電圧の関係が線形でない場合、I-V曲線の描く線の傾きをdifferential resistance(微分抵抗)、incremental resistance、slope resistance などと呼ぶ。すなわち、次のようになる。 R = d V d I {\displaystyle R={\frac {\mathrm {d} V}{\mathrm {d} I}}\,} 線形でなければこの値は電流電圧いずれに対しても一定値にならないので、条件となる電圧か電流を指定する必要がある。 この量を「電気抵抗」と呼ぶこともあるが、上掲の定義とこちらの定義が一致するのは理想的な抵抗器などのオーム性材料だけである。例えばダイオードは、電流や電圧の変化によって電気抵抗が変化する電子部品である。また、この量を「交流抵抗(値)」と呼ぶ場合がある。考え方としてはトランジスタ等の交流増幅率と同じで、微小な交流入力信号に一定バイアスを乗せて対象デバイスに電流を流すと、(出力信号の振幅)=(指定バイアス時の交流抵抗)×(入力信号の振幅)となる。上述のリアクタンス等の意味での「交流抵抗」とは意味も趣旨も全く違う。 V-I曲線が直線でない場合、電圧または電流のある範囲では微分抵抗が負となる場合がある。これを「負性抵抗」と呼ぶが、より正確には「負性微分抵抗 (negative differential resistance)」と呼ぶ。ただしその場合に実際の電流と電圧から電気抵抗を計算してもその値が負になるわけではない。負性抵抗を示す電子部品として、例えばトンネルダイオードがある。 微分抵抗が役立つのは、非線形な電子部品と線形な電源/負荷を小さな間隔で比較する場合のみである。例えば、ツェナーダイオードに様々な値の電流を流したときの電圧安定性の評価で必要となる。 微小信号モデル技法は非線形部品の解析によく使われ、直流の動作点(バイアスポイント)を選択して、その動作点での方程式の線形化を使用する。
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