後期ドーセット文化およびチューレ文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 02:09 UTC 版)
「グリーンランドの歴史」の記事における「後期ドーセット文化およびチューレ文化」の解説
後期ドーセット文化は、現在のカナダ北東部を中心に繁栄しており、10世紀頃にはグリーンランド北西部に居住していた可能性が取りざたされている。しかし、この文化も1300年頃までに消滅している。1200年頃からはチューレ文化が西方から広まってきたことが判明している。チューレ文化は狩猟を中心とした文化であり、極地での生活によく適応していた。チューレ文化は後期ドーセット文化よりもやや南方に分布し、島の最北部には居住しなかったが、島の西部・東部の広い範囲に居住した。このチューレ文化の民族は現在のイヌイットの祖先と考えられている。チューレ文化とヴァイキングとの関係は不明な点が多く、広範な議論の対象となっている。 ヴァイキングたちは無人だったアイスランドとは違い、グリーンランドでは先住民たちと交渉する機会があった。チューレ文化の人々は南下の末、12世紀にはヴァイキングたちに遭遇したと考えられる。二つの文化が交わった痕跡は限られている。ノース人(ヴァイキング)たちの残した文献により、彼らは異民族を「スクレリング」と呼んでいたことが分かっている。また、『Icelandic Annals』はノース人とスクレリングとの接触が描かれた数少ない資料である。これによれば、スクレリングの側に敵意が生じ、18人のノース人が殺され2人の少年が連れ去られたという。考古学的調査ではイヌイットとノース人の交易らしき跡が見られるが、イヌイットの遺跡には多数のノース人の産物が見られるのに対し、ノース人の入植地跡にはイヌイットの産物がめったに見られない。これはノース人がイヌイットに全く関心を示さなかったためか、もしくはイヌイットがノース人の居住地を乗っ取ったものと考えられている。
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