巡洋艦の検討とV型嚮導艦
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「トライバル級駆逐艦 (2代)」の記事における「巡洋艦の検討とV型嚮導艦」の解説
一方巡洋艦戦力については、ロンドン海軍軍縮条約による制約の問題が顕在化していた。当時、イギリス海軍の巡洋艦の所要数は70隻、うち45隻はシーレーン防護に充当される計画とされていた。しかしシーレーン防護部隊については、日本海軍などの有力な巡洋艦部隊と交戦する可能性を考慮すると、最低でも10,000トン級の大型艦が必要となり、巡洋艦の保有枠を大きく圧迫していたほか、財政上の負担も懸念された。このため、主隊と連携しての前路哨戒や外周防御については、より小型で安価な艦を充当することが構想され、まず1934年8月、造艦局長(DNC)は、P型(4,500トン、30.75ノット、6インチ単装砲6基および4インチ高角砲4基)からU型(3,500トン、38ノット、6インチ単装砲5基)まで、6つの試案を作成した。 しかしこの検討過程で、このような小型巡洋艦であれば、むしろ日本の特型駆逐艦のように駆逐艦を拡大強化した艦でも十分に肩代わりできることが判明した。この案はU型に続くV型、そして駆逐艦を大型化したという意味で「V型嚮導艦」(V Leader)として検討の俎上に載せられることとなり、1934年10月25日の海軍本部委員会に提出された。委員会でもこの案は支持を集めたことから、1935年2月20日、第一海軍卿は、1935年度でV型嚮導艦7隻を建造することを提案した。これに基づいて建造されたのが本級である。 なお、計画段階では「V型嚮導艦」と称されてはいたものの、実際に駆逐艦小艦隊(Flotilla)の旗艦たる嚮導艦(Flotilla leader)としての任にあたるわけではないことから、艦種・艦級呼称については検討が重ねられた。一度は、後のアメリカ海軍の大型駆逐艦(Destroyer Leader, DL)と同様に「フリゲート」と称することも検討されたものの、この時点では艦種呼称として廃止されていたことから実現しなかった。「巡洋艦駆逐艦」「偵察駆逐艦」「哨戒駆逐艦」「支援駆逐艦」などが検討され、「支援駆逐艦」は好評だったものの、結局、単に「駆逐艦」とされた。ただし従来の英駆逐艦がアルファベットの艦級名を付されていたのに対し、本級では種族名由来の艦名として、艦級名はトライバル級とすることで区別が図られた。
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