居住地での被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 04:05 UTC 版)
市街で発生した場合は、特に被害が大きくなる。氷が電線に付着して電柱が倒壊し、氷の量が多い場合には送電線の鉄塔でさえ倒れることもある。鉄道の架線に付着した場合は、給電がストップして運行ができなくなるが、雨氷を取り除く作業は着雪などに比べて時間がかかり、運行再開は遅れがちになる。また、電線の一定の方向にだけ雨氷が付着すると、強風によりギャロッピング現象と呼ばれる振動現象を起こし、電線同士が接触するなどしてショートし、断線することがある。 雨氷が道路を覆うと、表面は硬く滑らかなため非常に滑りやすい状態となり、車はスリップし、歩行者も転倒しやすくなる。雨氷に覆われた道路の制動距離は、乾いている場合の10倍、雪に覆われている場合の2倍といわれている。雨氷は表面が滑らかで透明なうえ、雪が降るとすぐ覆い隠されてしまうため、道路が雨氷に覆われていることに気付かないことがある。また、気づいていても滑りやすいため、誤ってけがをしてしまうことが多い。戸外での移動に際しては、靴や車のタイヤのスリップ対策が必要になる。また、鉄道の線路や飛行場の滑走路も凍結した場合、交通網の深刻な停滞・麻痺を来たす。 また、特に雨氷の場合に留意しなければならないのが、停電に伴う影響である。雨氷は電線に付着して停電を起こしやすいため、ガスや電気の代わりとして暖房に火を使うことになる。それによって火災の危険性が高まり、締め切った室内で暖房器具や発電機を使うことで一酸化炭素中毒の危険性も高まる。1998年1月上旬に北米を襲ったアイスストームでは、多数の一酸化炭素中毒患者が出ている。
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