尾鷲のイメージ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/25 15:38 UTC 版)
「尾鷲は雨の多い街」というイメージが先行しがちであるため、尾鷲市に出張などで訪れるビジネスマンからは、偶然訪れた日に雨が降っていると「尾鷲はいつも雨」という印象を持たれやすい。また馬越峠など市内の熊野古道伊勢路の案内資料には「雨天時は(石畳が)滑るので注意」という文言が添えられていることが多く、日本列島に台風が接近した際に尾鷲から中継が行われることが多いため、「雨が多い」というイメージを助長している。三重県の小中学校では社会科の授業で尾鷲の降水量が日本有数であることを学習するため、尾鷲市のイメージとして「雨」と即答するのは半ば常識と化している。しかし実際には雨の日数が多いというわけではなく、尾鷲の住民も「それほど降らない」という認識を持っている。先述の通り、日照時間は日本の平均値とほぼ同じであり、1度に降る雨量が多いだけで、降水日数は多くない。ただし、同じ三重県の津と比較すると、平均で月に2日ほど津よりも尾鷲のほうが雨天日が多い。なお、江戸時代後期には尾鷲で雨乞いが行われたという記録が残っている。 雨の多さは人々に畏敬の念を抱かせ、尾鷲を含む熊野地方に「死者の地=あの世」のイメージを付与した。同じ三重県の伊勢が温和な気候の下で純粋な神道の聖地として「生者の地=この世」のイメージと結び付けられたのとは対照的である。雨の多さは森林を育て、山深いことから古代人に「闇」が強く意識されたのであった。記紀では熊野地方はイザナミが葬られた地とされ、伊勢とは違い仏教を積極的に受容したことから、「あの世」のイメージは強化された。
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