寺山七不思議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 09:13 UTC 版)
寺山観音寺の縁起に次のような記述がある。 「 当山二七フシギ(不思議)アリ。第一霊湯、第二牛石、第三白土、第四赤根土、第五青ノリ、第六盗賊不入、第七バン字水夏冬絶エズ、是ハ寺山七不思議ト申シツタワルナリ。 」 寺山観音寺の周辺には、第一に霊湯、第二に牛石、第三に白土、第四に赤根土、第五に青ノリ、第六に一度も盗賊が侵入しない不思議、第七にバン字池の水が年中絶えない七不思議があると伝えている。詳細には次の通りである。 第一「霊湯」 縁起には「境内湯沢ト申所二諸病悉除之霊水アリ(境内の「湯沢」というところに、あらゆる病をことごとく直す霊水がある)」とあるが、現在の寺山鉱泉のことである。古くから風呂の水として汲まれ沸かして使われ、当山にやってくる修行者などに利用されてきたという。また、かつて寺山地区では、益子焼の釉薬が採取され、鉄分の豊富な水も湧いた。 第二「牛石」 大同元年(806年)、法楽寺が現在の寺山観音寺の場所に移転する際、解体した観音堂の材料を運んでいた牛が、現在の寺山観音寺の場所で止まり全く動かなかったので、それを観音様の意向と考えた人々が、そこに観音堂を移築して現在の寺山観音寺になったという伝承がある。伝承では、この際、移築が終わってからも、牛はその地を全く動こうとしなかったので、観音様が、永遠に自分の傍に仕えられるように牛を石に変えたとされている。それが牛石であり、現在も寺山観音寺の近くに史跡として残されている。 第三「白土」 縁起によれば、境内の「湯沢」の上の方に白土が出るところがあり、昔から寺山の白壁などの材料として使われてきたという。 第四「赤根土」 縁起によれば、寺山の「赤根坂」というところに朱土(赤土)が出るところがあり、朱印などに用いられてきたという。 第五「青ノリ」 寺山観音寺の西北の山の沢に青ノリが取れる場所があり、夏と秋の土用の日にこれを取って食べていたという。縁起では、特に炒めて食べると香味が比類なく素晴らしかったという。 第六「盗賊不入」 縁起によれば、寺山観音寺は、盗賊の侵入を許したことがないという。また、侵入した盗賊がいても、いかなる理由か不明だが、寺山から出られたことが一度もないという。 「 於当山往古ヨリ今二至ルマデ盗賊マイリシタメシナシ、若シアヤマッテヌスミ取リ候共当山出ル事カナワズ往古ヨリタメシ多シ(当山において、往古より今に至るまで盗賊が参った例(ためし)がない。もし、誤って盗み取り候(そうろう)とも、当山より出る事かなわず。往古よりためし(そういう前例)が多い) 」 なお、縁起には、当縁起は、天明壬寅(天明2年、1782年)三月に再版されたとあり、「今二至ル」の今とはこの時である。盗賊が入ったことが無いのに、「盗賊が入ったとしても」という話があるのはいささか矛盾した話ではあるが、こうした伝承が残るほどに寺山は盗賊の被害が少なく、少なくとも縁起が再版された天明2年(1782年)3月までは、そうであったと考えられている。 第七「絶えぬバン字池の水」 縁起によれば、寺山観音寺を現在の地に移築した徳一上人が、観音寺の御手洗の池としてバン字形の池を作り、バン字池と呼ばれていた。池には弁財天を勧請した小社が建てられた。池には、煩悩や邪気を払う力があり、年中水が絶えることが無かったという。
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