実施措置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 02:01 UTC 版)
「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の記事における「実施措置」の解説
締約国による社会権規約の履行を確保するための実施措置として、後述のとおり国家報告制度が設けられている。 本規約上は、国連経済社会理事会が実施機関として規定されており(16条)、当初は経社理に設けられた会期内作業部会が締約国からの報告の審査に当たっていた。しかし、それでは審査がなおざりになりがちであったことから、1985年5月28日の経社理決議(1985/17)により作業部会を改組して経済的、社会的及び文化的権利委員会(社会権規約委員会)が設置され、1987年から活動を開始した。同委員会は、18名の専門家から成り、委員の任期は4年である。年2回の会期(それぞれ3週間の本会議及び1週間の予備的作業部会)をジュネーヴで開いている。 また、委員会は、本規約の規定の解釈について一般的意見を表明する。 国家報告制度(16条) 国家報告制度とは、人権条約の締約国が、条約上の義務の履行状況を実施機関に報告する制度である。 本規約の締約国は、定期的に、「この規約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の実現についてもたらされた進歩に関する報告」を提出しなければならない(16条1)。初回の報告は、本規約の受諾から2年以内に、その後は5年ごとに提出することとされている。社会権規約委員会は、各報告書の審査を行い、「最終所見」の形で締約国に対する懸念と勧告を表明する。 個人通報制度(選択議定書) 個人通報制度とは、人権条約に定める権利を侵害された個人が、実施機関に通報を行うことができる制度である。 2008年12月10日、国連総会で、社会権規約委員会に個人通報を受理する権限を与える社会権規約の選択議定書が全会一致で採択され(決議A/RES/63/117)、2009年署名のため開放された(2013年に発効)。
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