天文学的な検出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/31 18:09 UTC 版)
HCN(HNCではない)は、1970年6月にアメリカ国立電波天文台の30フィート電波望遠鏡を用いて、L. E. SnyderとD. Buhlが初めて検出した。最初の分子同位体H12C14N は、W3 (OH)、Orion A、Sgr A(NH3A)、W49、W51、DR 21(OH)6つの異なる電波源から、88.6 GHzのJ = 1→0 遷移により観察された。2番目の分子同位体 H13C14N は、Orion AとSgr A(NH3A)の2つの電波源からの86.3 GHzのJ = 1→0 遷移により観察された。HCNはその後、1988年にスペインのベレッタ山にあるIRAM30m望遠鏡を用いて銀河系外に検出された。これは、IC 342の方角に90.7 GHzのJ = 1→0遷移が観察されたものである。このほか、1996年に観測された百武彗星からの検出も報告されている。 [HNC]/[HCN]の存在比の温度依存性を確認することに向けて多くの検出がなされた。温度と存在比の間の強い相関により、その比を分光学的に検出し、それから環境温度を外挿することが可能となった。これにより、この分子種の環境への大きな洞察が得られた。オリオン座分子雲に沿ったHNC、HCN の希少同位体の存在比は、温かい領域と冷たい領域の間で、1桁以上異なる。1992年、オリオン座分子雲の縁と核に沿ったHNC、HCNとその重水素化アナログの存在量が測定され、存在比の温度依存性が確認された。1997年のW3巨大分子雲の調査では、HNC、HN13C、HN15Cを含む14の異なる化学種を構成する24の異なる分子同位体が見られた。この調査では、[HNC] / [HCN]存在比の温度依存性がさらに確認され、さらに今回はアイソトポマーの依存性も確認された。 星間物質としてHNCが検出されたのは、これらだけではない。1997年、おうし座分子雲の縁に沿ってHNCが観測されてHCO+に対する存在比は縁に沿って一定であることが発見され、HNC がHCO+ に由来して生じるという反応経路の信頼性を高めることとなった。2006年には、HN13C やHN15C を含む様々な窒素化合物の存在量からCha-MMS1の原始星コアの進化の段階が初めて推定された。 2014年8月11日、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計を用いた初めての観測で、レモン彗星 (C/2012 F6)およびアイソン彗星のコマの内部のHCN、HNC、ホルムアルデヒドおよび塵の分布の結果が公表された。
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