大阪市立都島工業専門学校 (旧制)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 大阪市立都島工業専門学校 (旧制)の意味・解説 

大阪市立都島工業専門学校 (旧制)

(大阪市立都島工業専門学校 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/30 08:43 UTC 版)

大阪市立都島工業専門学校
(都島工専)
創立 1943年
所在地 大阪府大阪市都島区
初代校長 平野正雄
廃止 1951年
後身校 大阪市立大学
同窓会 大阪市立大学
工学部同窓会

大阪市立都島工業専門学校 (おおさかしりつみやこじまこうぎょうせんもんがっこう) は、1943年 (昭和18年) に設立された旧制専門学校。略称は都島工専 (みやこじまこうせん)。1945年4月に大阪市立都島高等工業学校都島高工) から改称した。本項では、改称前後の両校について扱う。

都島高工の母体校となった大阪市立都島工業学校については、新制大阪市立都島工業高等学校の項を参照。本項では、制度上の変遷を略述するにとどめる (旧制高等工業学校は新制工業高等学校とは別制度の学校である)。

概要

旧制大阪市立都島工業学校を母体に、大阪市立都島高等工業学校として設立された。都島高工創立時には、本科 (修業年限 3年) に機械工学科、電気工学科、建築工学科、土木工学科を設置した。第二次世界大戦中に大阪市立都島工業専門学校都島工専) と改称された。

新制大阪市立大学理工学部 (現 工学部・理学部) の前身である。 同窓会は 「大阪市立大学工学部同窓会」 と称し、新制大学卒業者と合同の会である (都島工業学校の同窓会 「社団法人 浪速工業会」 とは合同しなかった)。

沿革

母体校変遷

  • 1907年5月21日: 工業学校規程により市立大阪工業学校設立 (明治40年文部省告示第164号)。
    • 本科 (機械科・建築科) 修業年限 4年、入学資格 満14歳以上・高等小学校卒業以上。
    • 選科 修業年限 1年~5年、入学資格 満12歳以上 (尋常小学校卒業程度)。
    • 校舎は北区北野牛丸町に設置 (現JR貨物 梅田駅付近)。
  • 1908年4月: 市立大阪工業学校開校。
  • 1909年10月: 附属工業補習学校開設 (1920年3月、大阪市立工業補習学校として独立)。
  • 1910年3月: 分析科を増設。
変遷略図(1908-1949)
  • 1918年4月: 大阪市立工業学校と改称。
    • 予科を設置 (修業年限 2年、入学資格 尋常小学校卒業程度) 。
    • 選科を廃止、専修科を設置 (修業年限 2年、入学資格 中学校卒業程度)。
    • 電気科を増設。分析科を応用化学科と改称。
  • 1919年: 同窓会が校友会から独立。
  • 1922年4月: 土木科を増設。
  • 1923年: 同窓会、「浪速工業会」 と改称。
  • 1924年4月: 応用化学科を大阪市立泉尾工業学校 (のち大阪市立泉尾工業高等学校) に移管。
  • 1925年12月: 大阪駅拡張に伴い、都島に移転。
  • 1926年4月: 大阪市立都島工業学校と改称。
    • 予科・専修科を廃止、本科 6年制とする (入学資格 尋常小学校卒業程度)。
  • 1934年1月: 同窓会 「浪速工業会」 が社団法人化。
  • 1937年10月: 2部を設置 (電気科、修業年限 1年、入学資格 中学校卒業程度)。

昇格の経緯

大阪市立都島工業学校は 6年制工業学校であり、一般の旧制工業学校より 1年分修業年限が長かった。そのため同窓会 「浪速工業会」 は、1931年8月から高等工業学校への昇格運動を始めていた: (案1) 修業年限を延長、7年制高等工業学校とする案。 (案2) 本科5年の上に 3年制の高等科 (高等工業学校) を併置する案。しかし、大阪市当局は、財政難を理由に応じなかった。

1943年1月、中等学校令 (昭和18年勅令第36号) が公布され、6年制だった都島工業学校は 4年制に短縮されることになった (4年制適用は 1943年入学者から)。大幅なレベルダウンが避けられなくなり、ようやく大阪市当局は高等工業学校の併設に応じた。

大阪市立都島高等工業学校時代

  • 1943年3月8日: 大阪市立都島高等工業学校設立認可 (大専22号)。
  • 1943年4月: 開校。
    • 都島高工は本科 3年制で、機械工学科・電気工学科・建築工学科・土木工学科を設置。
    • 都島工業学校本科は存続し、1948年学制改革により新制都島工業高等学校となった。

大阪市立都島工業専門学校時代

  • 1945年4月: 大阪市立都島工業専門学校と改称 (昭和20年文部省告示第40号)。
    • 本科 3年制、機械科・電気科・建築科・土木科を設置。中等学校 4年修了入学も許された。
  • 1945年6月7日: 空襲により講堂・実験設備を焼失。
  • 1945年9月: 第1回卒業 (1943年入学者。戦時措置で修業年限短縮のため)。
  • 1946年4月: 大阪市立都島工業専門学校規則改正。
    • 入学資格から、中等学校 4年修了者の項が削除された。
  • 1947年: 女子学生の入学を許可。
  • 1947年12月: 「都島工専大学昇格期成同盟」、大阪市長に大学昇格を陳情。
  • 1948年2月: 期成同盟、大阪市会に大学昇格を陳情。
    • 結局、単独昇格ではなく、新制大阪市立大学 (総合大学) の一部として昇格することになった。
  • 1949年4月: 新制大阪市立大学発足。
    • 都島工専は理工学部の前身となった (1959年、理学部と工学部に分離) 。
    • 寮は 「都風寮」 として引き継がれた (1946年頃発足、1951年3月引継)。
  • 1951年3月4日: 大阪市立の旧制専門学校 4校で合同閉校式を開催。
  • 1951年3月8日: 第6回卒業。
  • 1951年3月31日: 都島工専廃止。

校地

設立当初は、母体となった都島工業学校と同居していた (都島校舎、現大阪府立都島工業高等学校の校地)。1945年6月の空襲で一部の設備を失い狭隘となったため、1945年9月の学校再開時、旧北天満国民学校校舎を分教場とした (建築科・土木科、北天満分教場。大阪市北区浪花町)。分教場は翌 1946年4月に旧管北国民学校に移転 (管北分教場、大阪市北区管栄町)。1946年10月、都島工専全校が桃ヶ丘仮校舎に移転 (大阪市天王寺区北山町の旧桃丘国民学校、現大阪市立天王寺図書館敷地)。

後身校、新制大阪市立大学理工学部は大阪市北区の元北野小学校校舎 (旧扇町商業高等学校校舎、北野校舎、現北税務署敷地) で発足したのち、1959年の理工分離を経て、理学部は1962年9月 (原子力調査研究室は1968年8月)、工学部は1966年8月までに現在の杉本校舎 (大阪市住吉区) に移転した。

学生寮は大阪市都島区高倉町三丁目 (当時) にあった旧軍需工場の宿舎を転用したもので、1946年頃から入寮が開始された。初期の寮生、金田龍之介の提案によって 「都風寮」 と名付けられ、1951年3月、都島工専の廃止と共に新制大阪市立大学に引き継がれた (但し、正式の大学寮として認められたのは1956年7月)。老朽化のため、1977年に新寮が杉本校舎の一角に設置されたが、寮管理規定をめぐって寮生と大学当局との間で対立が発生。膠着状態の中、1977年1月17日、一部の都風寮生により新寮への入寮が強行され、「志全寮」 となった。都風寮は志全寮誕生と共に廃止となった (志全寮も中核派の事実上の出撃拠点として使用されたため、最終的に1997年8月、明け渡し強制執行により終焉した)。

歴代校長

大阪市立都島高等工業学校
  • 校長事務取扱: 平野正雄 (1943年3月8日 - 1943年3月31日)
  • 初代: 平野正雄 (1943年3月31日 - 1945年3月31日)
    京都大学名誉教授。1946年3月31日までは都島工業学校校長と兼務。
大阪市立都島工業専門学校
  • 初代: 平野正雄 (1945年4月1日 - 1951年3月31日)

著名な出身者

関連書籍

  • 大阪市立大学百年史編集委員会(編) 『大阪市立大学百年史 全学編 (上・下)』 1987年11月。
  • 寮の記録委員会(編) 『大阪市立大学 学生寮の歴史』 大阪市立大学、2001年3月。

関連項目

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「大阪市立都島工業専門学校 (旧制)」の関連用語

大阪市立都島工業専門学校 (旧制)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



大阪市立都島工業専門学校 (旧制)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの大阪市立都島工業専門学校 (旧制) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS