国連分担金の支払い問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 14:40 UTC 版)
「リチャード・ホルブルック」の記事における「国連分担金の支払い問題」の解説
アメリカは長らく国連の財政システムや組織構造の抜本的改革を求めていたが、改革がなかなか進まないことを批判して国連分担金の全額支払いを拒んでいたために累積未払い額が増加を続けており、このまま増加が続くとアメリカは国連総会での投票権を失う可能性があった。このためホルブルックはアナン事務総長や他の国連加盟国188カ国などと交渉にあたり、2000年12月末に全加盟国との合意にこぎ着けた。合意の内容は、国連側がアメリカの国連分担金負担比率を引き下げる代わりに、アメリカ側が累積未払い金を支払うことを立法化によって保障するというものであった。この合意に基づく形で、アメリカ側は上院外交委員会委員長のジェシー・ヘルムズ上院議員(共和党・ノースカロライナ州選出)と、同委員会筆頭理事(ranking menber)のジョセフ・バイデン上院議員(民主党・デラウェア州選出)が協議のうえ、国連に総額9億2600万ドルの未払い金を支払う旨を盛り込んだ法案を共同提出し、成立させた(「ヘルムズ-バイデン法案」)。 未払い金支払いを実現させる一方で、当時アメリカ経済が好調であったことから、それによって分担金の支払い額が増加することを避けるため、ここでは従来通りの「国連の財政システム構造は旧態依然としており、抜本的な改革が必要である」とする主張を行い、未払い金支払いと引き替えに得た負担金減額幅を死守するべく交渉を行った。 この交渉は2000年の秋に重大な局面を迎えた。ホルブルックは、既に連邦議会が先述のヘルムズ-バイデン法案で支払いを認めた額と、今後アメリカ政府に課せられることになる支払い額とのギャップを埋めるため、実業家で億万長者としても知られるテッド・ターナーが率いる国連財団(英語版)から前例のない寄付を受けることによってこのギャップを解消・決着させ、アメリカの得た減額幅を死守しつつ、再び未払い金が増加する事態を回避した。この取引が実現した際、ホルブルックと彼の率いた交渉チームは、上院外交委員会においてスタンディングオベーションを受けたという。
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