和牛預託商法とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > ビジネス > 商取引 > 商法 > 和牛預託商法の意味・解説 

和牛オーナー制度

読み方:わぎゅうオーナーせいど
別名:牛のオーナー制度和牛オーナー制、和牛預託商法、和牛商法

預託法」(特定商品等の預託等取引契約に関する法律に基づき個人子牛オーナーとなって育成支援し子牛が成牛となって売れた場合に、その配当金オーナー支払うという制度いわゆる和牛預託商法である。

預託法は「現物まがい商法」と呼ばれる悪徳商法利用されることがしばしばある。和牛オーナー制度も、現物まがい商法一種見なされる場合多くある。

1990年代半ばから後半にかけて、和牛オーナー制度は高利回り投資手法として注目集めたが、「配当契約どおりに支払われない」、「預託金返還されない」などのトラブル続出し急速に勢い失った。和牛オーナー制度によるオーナー募集していた事業者は、1990年代には17社あったとされるが、2000年代には2社のみとなった

2000年代残った2社のうち、「ふるさと共済牧場」(後に「ふるさと牧場」と改称)は2007年経営破綻している。残ったもう1社「安愚楽牧場」(安愚楽共済牧場)も、2011年8月9日東京地裁民事再生法の適用申立て行った負債総額2011年7月末の時点で約4330億円に上るとされる

関連サイト
雑誌に和牛オーナー募集の広告が出ていた。信用できるか。 - 東京都生活文化局 東京くらしWEB

わぎゅうよたく‐しょうほう〔ワギウヨタクシヤウハフ〕【和牛預託商法】

読み方:わぎゅうよたくしょうほう

和牛の飼育によって得られ利益配分するとして出資募る商法1990年代から2000年代にかけて、飼育・繁殖実態伴わない詐欺的な取引横行し多数個人投資家被害受けた和牛商法。→和牛オーナー制度


和牛預託商法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/19 23:37 UTC 版)

和牛預託商法(わぎゅうよたくしょうほう)は、和牛の飼育・繁殖事業に出資を募った上で、出資金配当に回す自転車操業を行ったり、約束した配当を行わないという詐欺商法の一つで、現物まがい商法の一種である。

概要

元来、農家協同組合が1頭の和牛子牛に対して数人の共同出資を呼びかけ、牛が売れたらお礼程度の牛肉を配当するといった畜産支援を主眼とした小規模の資金調達は存在したが、和牛預託商法は、これとは一線を画する。

1995年に公定歩合が1%を割り、銀行預金が資産運用の機能を喪失すると、運用マネーの流入を見込んで怪しげなものも含め様々な投資商品が雨後のタケノコのように現れた。その中で当時「wagyu」として海外への宣伝が進められており、価値の高騰が目されていた和牛に着目した詐欺商法が和牛預託商法であった。

具体的には、「子牛に出資すれば肥育して成牛となった際に高値で売れて差額が配当される」や「繁殖母牛に出資すれば生まれる子牛の売却代金で継続的に配当が得られる」という触れ込みで、年率5%から8%といった出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)に触れるような高利回りをうたったものも少なくなかった。

実際にはこのような高収益の実態はなく、新規出資が頭打ちになるとすぐに配当が滞り、最盛期には17社あった和牛預託商法の企業は出資者からの返金要請に応じて次々に破綻し、軽井沢ファミリー千紫牧場とジェイファームの2社の元社長が出資法違反と詐欺により逮捕・起訴されるなどして、1997年ごろまでに同商法の被害は一旦収まった[1]

しかし、ふるさと共済牧場は2001年(平成13年)8月1日付けで商号変更して「ふるさと牧場」に改称して事業を存続させ、2007年に破綻した[2]。支払能力がないにもかかわらず投資家を勧誘して資金を騙し取っていたとして2008年11月に同社社長ら6人が詐欺容疑で逮捕起訴された[3]。低金利が続く中で「2年で7.8%の予定利回り」を謳ったパンフレットを郵送するなど従前と同じ手口で資金を集め[4]、大部分が和牛とは無関係の元役員らの不動産投資などに使われ[5]、一部を配当として支払いながらの自転車操業を続けていたもので[3]、出資金が返還されていない新たな被害者は約8000人、被害総額は約226億8000万円と見積もられた[3]

また、テレビCMによる略称の安愚楽牧場で知られる安愚楽共済牧場は、事件被害が問題とされた企業の中で唯一生き残ったことで「最後の砦」と言われていた[6]。実際に多数の牛を肥育していたため、実態があるかのように見えていたが、2011年8月9日に破綻し、被害者数7万3356人、被害総額4207億6700万円という現物まがい商法としては豊田商事事件をも上回る被害が発生し、改めて問題となった。

長期に事業継続していたふれあい牧場・安愚楽牧場も、破綻後に経営の実態が明かされると、その内実は新規出資金で自転車操業的に配当を支払うポンジ・スキームであり、和牛預託商法そのものが全て詐欺商法に過ぎなかったことが判明した。

和牛預託商法による被害を受けて「特定商品等の預託等取引契約に関する法律(特定商品預託法、昭和六十一年法律第六十二号)」の施行令が1997年8月4日に改正され、同令第1条第1項に規定する特定商品に家畜家禽が追加され規制されることになった。

  • 和牛預託商法被害対策弁護団
    • 和牛の里共済牧場被害対策弁護団
    • あさぎり高原共済牧場被害対策弁護団
    • ふるさと共済牧場被害対策弁護団
    • みちのく都路村共済牧場被害対策弁護団
    • 軽井沢ファミリー千紫牧場/安愚楽共済牧場被害対策弁護団*

脚注

  1. ^ “和牛商法事件、97年に一斉返金 社会問題化で”. NIKKEI NET (日本経済新聞社). (2007年11月8日). http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20081108AT1G0800A08112008.html [リンク切れ]
  2. ^ 弁護団からのお知らせ”. 全国安愚楽牧場被害対策弁護団. 2015年7月25日閲覧。
  3. ^ a b c “和牛商法、社長ら逮捕 詐欺容疑、全国で387億円詐取か”. NIKKEI NET (日本経済新聞社). (2008年11月7日). オリジナルの2008年11月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20081110090316/http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20081107AT1G0701A07112008.html 
  4. ^ “和牛商法詐欺容疑で再逮捕 「ふるさと牧場」社長ら6人”. 中日新聞 CHUNICHI Web (中日新聞社). (2008年11月29日). http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008112902000248.html [リンク切れ]
  5. ^ “和牛商法、無関係の投資139億円”. NIKKEI NET (日本経済新聞社). (2008年11月29日). オリジナルの2008年12月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20081202082720/http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20081129AT1G2900O29112008.html 
  6. ^ “安愚楽牧場:経営悪化 和牛オーナー商法、出資者ら「元金だけは返して」 - 栃木版”. 毎日jp (毎日新聞社). (2011年8月2日). http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20110802ddlk09020231000c.html [リンク切れ]

関連項目

外部リンク




和牛預託商法と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「和牛預託商法」の関連用語

和牛預託商法のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



和牛預託商法のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2025 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの和牛預託商法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS