呼吸困難をきたす疾患
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 10:12 UTC 版)
呼吸困難は数多くの疾患で起きる非特異的な症状である。原因となる疾患のうち、代表的なものは以下の通りである。痰づまりや気道内異物による機械的気道閉塞によるもの、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など耳鼻科疾患、慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、肺癌などによる無気肺や癌性リンパ管症、肺炎、上気道炎、気管支喘息、肺血栓塞栓症、気胸など肺疾患、心不全など心疾患、腎不全など腎疾患、胸水の貯留、貧血など血液疾患、敗血症にいたると呼吸器以外の感染症でも呼吸困難となるため呼吸器に限らない感染症、甲状腺中毒症や尿毒症など内分泌代謝疾患、ギランバレ症候群など神経疾患、花粉症などアレルギー性疾患、一酸化炭素中毒、シアン中毒など中毒、過換気症候群やパニック症候群など精神疾患、骨折など外傷があげられる。特に肺そのものの病変以外にも、周辺臓器、特に心臓の機能不全で呼吸困難が生じることがあることに注意が必要である。心不全や気管支喘息では起坐呼吸が生じることが有名である。また一酸化炭素中毒の場合はSpO2とSaO2の解離が認められるため注意が必要である。 これらの疾患を疑い、動脈血液による血液ガス分析、X線撮影、心電図、採血(血算、生化学、凝固、トロポニンT、Dダイマーなど)を行い、全身状態の悪化に備え血管確保を行うのが通常である。著しい低酸素血症は代謝性アシドーシスをきたしやすいことも知られており、意識障害などで訴えがなくとも著しいアシドーシスを認めたら気管挿管を検討する。特に重要なことは、原因がはっきりしなくとも重症感が強ければ血液ガス分析を行うということである。明らかなアシドーシスが出現していれば緊急事態であり、たとえpHが正常であっても代償されている可能性があるため、重炭酸イオンやBEの確認を行い代謝性アシドーシスは見逃さないように心がける。血液ガスが少なくとも正常であれば、明らかな原因がなければ2時間以内に急変するという確率はかなり低くなる。
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