含ニッケル硫化鉱からの回収 (シェリット法)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/02 15:36 UTC 版)
「コバルト製錬」の記事における「含ニッケル硫化鉱からの回収 (シェリット法)」の解説
シェリット法は、湿式製錬法でカナダのマニトバ州にあるSherridonとLynn LakeにあるSherritt Gordon Mines Ltd. (現在のSherritt International社)にちなんで名付けられている。シェリット法は、Sherritt Gordon社所有の鉱山でそれ以前に利用されていた、Frank Forward博士による銅とニッケルの回収法であるForward法を元にしている。硫化ニッケル鉱は、焙焼するか自溶炉製錬法によりマットにするかした上で、アンモニア水で加圧浸出させるという湿式製錬の手法でニッケルとコバルトが回収される。不溶性の鉄を成分とする残渣は除去される。供給されるマットや硫化精鉱は、約0.4%のコバルトと30%の硫黄を含んでおり、加熱・加圧しながらアンモニア水で浸出させ、ニッケルと銅、コバルトの水溶液を得る。次に水溶液を沸騰させてアンモニアを除去し、銅を硫化物として沈殿させ、これは銅製錬所へ送られる。硫化水素をオートクレーブに追加して、硫化ニッケルと硫化銅を除去し、これらは浸出工程へ戻される。次に、オートクレーブに空気を吹き込み、酸化加水分解させる。続いて高温高圧下で水素を吹き込んで還元させ、品位99%以上の金属ニッケル粉を得る。残った溶液には硫化ニッケルと硫化コバルトが同量程度含まれており、比較的低温・低圧な条件下で混合硫化物として回収される。。水溶液は濃縮され、結晶化され、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)が回収される。混合硫化物は、空気と硫酸により加圧浸出される。カリウムを加えてアンモニアを除去し、鉄をジャロサイト(KFe3+3 (OH)6(SO4)2)として分離する。さらにアンモニアと空気を吹き込み、酸化させる。溶液をオートクレーブから出し、硫酸を加えてニッケルを硫酸ニッケルと硫酸アンモニウムの複塩((NiSO4)•((NH4)2SO4)•6H2O)として分離する。この複塩はニッケル回収工程へ送られる。続いて溶液に硫酸を加えて、種結晶として金属コバルト粉を加える。水素ガスを飽和するまで吹き込み、品位約99.6%の金属コバルト粉を沈殿させる。
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