吉薗周蔵の手記
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月刊ニューリーダー誌2003年8月号と11月号の落合莞爾連載『陸軍特務 吉薗周蔵の手記』の中で、甘粕事件についての言及があった。吉薗周蔵手記の内容は検証困難なもので今なっては異説の1つに過ぎないが、落合の説明によれば、吉薗や甘粕、あるいは藤田嗣治も、上原勇作元帥(前陸相)の特命を受けて行動する立場であったという。一方で、大杉栄は後藤新平に買われていた「草」で度々多額の金を無心していたといい、伊藤野枝は大杉の指示で、ユダヤ系フランス人のポンピドゥー牧師の拠点である神田メソジスト教会を探っていたとされる。 教會ニ モグリ込ムダルハ 野枝大杉榮 伊藤野枝ハ 共産党デハアルガ 後藤新平ノ草デアッタ由。同席ノ藤根サンモ認ムル。 タコロガ 大杉ハ サノ根ガサモシク サモシヒ故ニ 後藤ニ直接 會ヒニ行ッタラシヒ。何度カ ニ行ッタ模様。サレハ 自分ニハ納得デキル。自分ノ見タル大杉モ マカトニ サモシヒ表情ヲ シテヲッタ。デアルニ當然ノカトナガラ 大杉ハ 閣下ノ事モ 甘粕ノ事モ ユスッタデアラフ。トナレバ 大杉ヲ アアマデ始末シタルハ閣下ノ命モアラフガ ナルホド 甘粕サンノ意向モアラフ。 — 周蔵手記、ニューリーダー誌2003年8月号 落合は、吉薗の別の記述から、上原と後藤のアヘン栽培(当時合法)やモルヒネ国産化で利権争いをしていたと指摘。上原はポンピドゥー牧師の妹とかつて愛人関係にあり、一女をもうけた。その上原の隠し子である混血女性と甘粕は愛人(もしくは妻)関係にあったとされ、それらの事実を伝えたのが王希天であり、彼も関東大震災のどさくさに軍隊によって殺されたが、政治スキャンダルを起こす目的で密事を探られた私怨、もしくはそのことでゆすられたことが、大杉夫妻殺害の動機ではないかと、吉薗は考えていたとする。
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