古東スラヴの文学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 07:27 UTC 版)
古東スラヴ語はいくつかの文学を独自に発展させた。しかしその多くは文体と語彙の面で教会スラヴ語の影響を受けている。現存する代表的な作品としては、ルーシ法典、聖人伝と説教の集成、イーゴリ遠征物語、そして最も初期の資料である原初年代記のラヴレンチー写本(1377年)などがある。 ロシア内戦中に発見され第二次世界大戦中に失われたとされるヴェレスの書は、偽書でなければ、キリスト教化前の唯一の東スラヴの文字資料となっていた。発見時の説明とその後の経緯(写真が現存するとの説もある)のため、その信ぴょう性を疑う言語学者がほとんどである。最初期の古東スラヴ語の資料は、キエフの府主教イラリオンの律法と恩寵についての講話とされている。この講話には、東スラヴの英雄譚によく取り上げられるウラジーミル1世への賛辞も記載されている。 11世紀の著述家としてはキエフ・ペチェールシク大修道院の修道僧フェオドーシイと、ノヴゴロドの主教ルカ・ジジャータがいる。テオドシオスの著作からは当時依然として異教信仰が盛んであったことが窺い知れる。ジジャータは同時代の著作家達よりもよりその土地の言葉に近い文体を使用し、大仰な東ローマ式の著述を控えた。 また、初期東スラヴの文字資料として、多くの聖人伝、主教伝が存在する。例として11世紀後期の「ボリスとグレブ伝」などがある。 年代記者ネストルによる原初年代記の他に、15世紀に編纂されたノヴゴロド第一年代記、キエフ年代記、ヴォルイニ年代記をはじめとした多くの年代記が存在する。
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