古来の伝承
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 02:34 UTC 版)
素早く足を動かせば、沼地の水面上を沈まずに歩くことができる、ダイラタンシーの効果を利用した移動テクニックは、古い時代には神が起こす奇跡と受け取られていたようである。以下に伝承の例を二つ示す。 斎の巫女の水面歩行術 その昔、斎の巫女が厳島神社の海上に浮かぶ大鳥居を、徒歩でくぐる神事を行うとき、海面上を歩いたという伝承がある。神通力によって成し得たことと言い伝えられてきた。 導通宮の社史 天正10年(1582)6月4日、難攻不落の沼城であった備中高松城が、秀吉の水攻めによって落城の憂き目に遭ったとき、清水宗治の次男長九朗が城からの脱出を試み、かねてから信仰していた道通様に祈ったところ、神使とされる一匹の白蛇が現れて、沼の上を先導して道を示したことで、浅口群西大島御滝山まで無事逃れる事ができたという伝説が、沖田神社導通宮に残されている。素早く足を動かせば泥の中に足が沈まないことを知らなかった敵兵は、まともに追撃出来なかったという伝承も残る。帰農した長九朗の子孫が御滝山の麓で導通宮を祭っていたが、寛政12年(1800)4月12日、新田開発のため沖田新田へと移住したとき、導通宮は沖田神社境内へ移され、末社に加えられて今日に至る。今でも導きの神として広く信仰を集めているが、ダイラタンシーを活用した水田や沼地の移動手段が、戦国時代の昔から、神の加護による奇跡と捉えられて、今日まで伝承されてきた一例である。
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