古代ギリシア:ピュシスとノモス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 17:13 UTC 版)
「自然」の記事における「古代ギリシア:ピュシスとノモス」の解説
古代ギリシアでは「φύσις ピュシス(自然)」は世界の根源とされ、絶対的な存在として把握された。 対立概念にノモス(法や社会制度)があり、ノモスはピュシスのような絶対的な存在ではなく、相対的な存在であり、人為的なものであるがゆえ、変更可能であると考えられた。フェリクス・ハイニマン(ドイツ語版)は、古代ギリシア人の思考方法の特徴のひとつにこのような対立的な思考(アンチテーゼ)がある、とし、このピュシス/ノモスの対立を根本的なものとした。またこの対立はパルメニデスのドクサ(臆見)とアレーテイア(真理)の対立の変形としてエレア派が行ったともいわれる。 古代ギリシア語における「φύσις ピュシス」の意味は「生じる」「成長する」といった意味をもっていた。またソフォクレスやエウリピデスの語法では「誕生」「素性」あるいは「天性」という意味がある。エウリピデスの語法には「たとい奴隷の子であれ、ピュシスに関して勇敢で正しいものの方が、むなしい評判(ドクサスマ)だけのものより高貴な生まれのものだ」(『縛られたメラニッペ』断片495,41)などがある。 このような古代ギリシアにおける自然・文化・社会との分割が、のちのローマやヨーロッパの思想史のなかでの議論の基盤のひとつとなった。 紀元前4世紀、アリストテレスは、自著『形而上学』において、神学と形而上学を「第一哲学」と位置づけ、自然哲学を「第二哲学」と呼んだ。というのは、自然哲学が、対象としている形相の説明も行っているからであるという。ここにおける「philosophia physiceフィロソフィア・ピュシス」という表現が、古代ギリシャ語文献の中に「自然哲学」という表現が現れた最初のものであるという。 「自然哲学」も参照
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