古代における利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 08:24 UTC 版)
甘味があり、歴史的に甘味料として用いられていた。 古代ローマにおいては、蜂蜜以外に手に入る甘味料は少なかった。 そのため完熟させたブドウの果汁(ムスト)を、鉛でコーティングされた青銅器で煮ることによって得られるサパ (sapa) と呼ばれるシロップが、甘味料として好んで作られていた。 このシロップは殺菌効果もあったことから、当時ワインの甘み付けや果物の保存に一般的に使われていた。しかしこれには製造の過程で青銅器にコーティングされた酢酸鉛などの鉛化合物が、加熱によってとけこんでいる。加えて焦げ付き防止のためにかき混ぜる際に被膜がこすれて傷つき、より多くがシロップに溶け込むことになる。 当時ワインを好んで飲んだ者が、このようなシロップを添加したことから鉛中毒となっていた可能性が否定できず、多くの皇帝など古代ローマの記録に残る有名な人物の発狂や死の原因ともなったと考える研究者がいる。 作曲家ベートーヴェンが、その晩年ほぼ耳が聞こえなくなった原因として、鉛中毒という説がある。 現代ではその毒性がよく知られているため、用いられることはない。
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