受容体応答後の機序
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 05:15 UTC 版)
「選択的プロゲステロン受容体修飾薬」の記事における「受容体応答後の機序」の解説
1990年代以降、女性の生殖器系において、2つの主要な受容体アイソマーであるAとBが機能的に異なる事が明らかになってきた。この2つのアイソマーの発現プロファイルを調べたところ、月経周期を通じて異なる時期に異なる組織で発現している事が判明した。PR-Bは、卵胞期には卵巣支質(英語版)と腺上皮で発現が増加し、黄体期には両組織で発現が減少することがわかっている。一方、PR-Aは、卵胞期には両組織で発現が増加し、黄体期後期には間質組織で持続している。これ迄の研究で、PR-Bの活性化は乳腺の成長・発達に重要であるのに対し、PR-Aは正常な生殖機能や排卵に重要な役割を果たしている事が判っている。また、in vitro の研究では、同一の条件下で、PR-Bはレポーター遺伝子のより強い転写活性化因子として働き、PR-AはPR-Bや他のステロイド受容体を転写抑制することが明らかになっている。この様に異性体間で機能が異なるのには、様々な理由が考えられる。まず、PR-Aは、PR-Bに比べてN末端のアミノ酸が164個不足しており、上流セグメントの欠損によりAF-3の活性化機能が奪われ、2つの活性化機能しか持たない事が挙げられる。また、機序の研究では、異性体間で補酵素の会合に違いがある事が判明している。この様な機能的な違いに着目し、SPRMの開発では、受容体の片方のアイソフォームを選択的に標的とする薬剤が模索されている。
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