反応性と用途
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 14:30 UTC 版)
可燃性の高い腐食性の化合物で、著しい弱酸である水素 (H2) (pKa = 35) の共役塩基であるヒドリド (H−) が強い塩基性を示す。水との接触によって加水分解され水素と水酸化ナトリウムが発生するが、ほとんどの場合爆発的に反応が起こる。また、炭素の存在下では一酸化炭素や二酸化炭素ガスが生成することもある。一般的な溶媒にはほとんど溶けないため、反応は固体表面のみで起こる。通常はテトラヒドロフランやジメチルホルムアミド中で使われる。 主として有機合成で、アルコールやフェノールのOH基、ピラゾールなどのNH基、チオールのSH基といったブレンステッド酸からプロトンを引き抜くのに用いられる。マロン酸エステルなど 1,3-ジカルボニル化合物のCHプロトンを引き抜くのにもよく利用される。生成するナトリウム塩はアルキル化などに使われる。縮合反応用の試薬としても広く用いられ、ディークマン縮合、シュトッベ縮合、ダルツェン縮合、クライゼン縮合などが例として挙げられる。 ジメチルスルホキシドとともに加熱すると、可溶性の塩基が生成する。 CH 3 S ( = O ) CH 3 + NaH ⟶ CH 3 S ( = O ) CH 2 Na + H 2 {\displaystyle {\ce {{CH3S(=O)CH3}+ NaH -> {CH3S(=O)CH2Na}+ H2}}} この塩基は硫黄イリドを調製してケトンをエポキシドに変換する反応(コーリー・チャイコフスキー反応)に用いられる。ウィッティヒ反応用のリンイリドの調製に使われることもある。 また、ジシランやジスルフィドの Si−Si、S−S 結合を還元する。他の場合で水素化ナトリウムが金属ナトリウムの還元力を上回る反応性を示すことは稀である。
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