原料から見た資源量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 15:54 UTC 版)
「太陽光発電の資源量」の記事における「原料から見た資源量」の解説
太陽光発電システムの生産に必要な原料も基本的に豊富であり、少なくとも2050年頃までに予測される需要は十分に満たせるとされる。シリコンを用いる太陽電池では、資源量は事実上無限とされる。またシリコンを用いない太陽電池についてはインジウムなどの資源が将来的に制約になる可能性があるが、技術的に使用量を節約することで2050年以降も利用可能ではないかと見られている。 太陽電池は、種類により下記のような原料をその半導体層(pn接合部分周辺)に用いる。 結晶シリコン太陽電池…シリコン(結晶シリコン) 薄膜シリコン太陽電池…シリコン(シランガス) CIS系太陽電池…銅、インジウム、ガリウム、セレン、硫黄など CdTe太陽電池…カドミウム、テルル III-V族太陽電池…ガリウム、砒素、リン、ゲルマニウムなど 色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池…有機色素、チタンなど このほか、電極に銀やインジウムを用いる場合がある。 現在の市場の主流は結晶シリコン太陽電池である。シリコン(ケイ素)の主要原料である二酸化ケイ素(シリカ)の資源量は事実上無限であり、全世界の需要を今後も長期に亘って満たせる資源量がある。工業用の高純度のものも世界中に広く分布する。このため少なくとも現在見通せる範囲では、結晶シリコン太陽電池や薄膜シリコン太陽電池では資源的な心配は無いとされる。 一方、インジウム、ガリウム、セレン、テルル、ゲルマニウムなどはシリコンほど潤沢でなく、現在の技術水準のままだとすればそれぞれ対応する太陽電池は2050年までに何らかの資源的制約を受ける可能性がある。しかしそれまでの技術の進展によって原料の増産や節約、他の材料による代替も期待できるため、2050年までだけでなく、それ以降も十分に需要を満たせるのではないかと推測されている。 太陽電池用シリコン原料の供給は2008年までは逼迫して価格も高止まりしていたが、各社の増産が追いつくことで2009年からは価格の低下が予測されている。結晶シリコン太陽電池の生産には微細シリコン半導体デバイスほどの原料純度(11N〜)は必要なく、7N程度で足りる。太陽電池専用のソーラーグレードシリコン(SOG-Si)原料の増産の動きが活発であり、今後は高純度シリコン市場の大部分を占めるようになると予測されている。ソーラーグレード専用の生産技術も様々なものが実用化されており、精製に必要なエネルギーやコストも大幅に削減されると見られている。(詳しくはソーラーグレードシリコンを参照。)
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