原因は西洋人による侵略とする説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 00:16 UTC 版)
「イースター島」の記事における「原因は西洋人による侵略とする説」の解説
島民の人口が減ったのはヨーロッパ人による奴隷狩りが原因であるとする説では、従来言われていたような島民同士の殺戮は発生せず、苛烈な奴隷狩りと外部から持ち込まれた疫病の流行により文明が崩壊したとする。 部族の争いがあったにしては、人を殺すことを目的としたような殺傷能力のある「武器」が島内からほとんど発掘されておらず、島で使われていた「マタア」と呼ばれる石器は、人を刺し殺すような作業には適していないという。島内から発掘された469個の頭骨を調べたところ、マタアによるものと思われる切り傷の痕が見つかったのは、そのうちわずか2個だけだった。西洋人による侵略時にも、現地人は投石で戦ったとされる。このことから、口伝にあるような戦闘があったのかどうか疑問視する専門家もいる。また、自然破壊の原因の一つとされたモアイの運搬についても、従来説では木の橇と軌条を作り、その上を滑らせるという大量の木材を必要とする方法であったが、現在では、モアイを立てた状態で、縄で左右に揺らしながら、歩かせるように前に進める方法でも可能である事が、実験で確かめられている。この様子は、島に伝わる「モアイは自分で歩いた」との伝説にも合致する。 いずれにせよ、争いが起こったとされる時から数百年も後になってから、収集された口承だけを頼りにすることは、研究者の間で論争となっている。非常に狭く、住民全てが顔見知りという島であるため、「ほんの数人が死亡した事件でも、島全体に話が伝わり、何度も繰り返し話題にされれば、そのうち話が膨らんで実際よりもずっと残虐な出来事として伝えられてしまう」という可能性も指摘されている。
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