原作として選択される作品の傾向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 05:55 UTC 版)
「やおい」の記事における「原作として選択される作品の傾向」の解説
一般に二次創作の原作となる物語は、パロディ化するだけの余地を残したあまりメッセージ性の高くない作品が好ましいとされる。その他、やおい系の二次創作で原作として選ばれる作品には以下のような傾向がある。 既存の物語を原作とする場合、その中で、男性キャラクター同士の友情やライバル関係などに注目し、それを恋愛・性愛関係に読み替えることになるが、その際、原作では存在し得なかった恋愛関係が新たに捏造される形になっており、最初から男性同士の恋愛が描かれているような作品は避けられる(アニメなどで女性受けを狙って男性同士の恋愛要素が導入されることがあるがかえって狙いすぎだと興ざめされて敬遠されることもある)。このため商業ボーイズラブ作品を原作として二次創作の同人誌が展開されるようなことはほとんどない。渡辺由美子は、オリジナルのボーイズラブ作品にははじめから女性の欲望が埋め込まれているのに対し、やおい系同人誌では一般向けの物語に女性の欲望をあとから埋め込む形で成立していると対比しており、やおいを「火のないところに煙を立たせる解釈遊戯」と表現している。 原作の作品中で男女の恋愛が描かれたとしても、それは副次的なものに過ぎず、恋愛よりも男性同士の絆が重要視されるような価値観が支持される。これまでの条件をまとめると、 男性間の友情が重要な要素として描かれ、 男女間の恋愛はそれ未満のレベルでのみ描かれ、 男性間の恋愛・性愛自体は描写されない という条件を持たした作品がやおい系同人誌の原作としてしばしば選択される。つまり、男性たちが共通の目的のために力をあわせて奮闘して絆を深めていく作品が好まれる。 こういった事情から原作となるのは少女漫画よりも男性向けの少年漫画であることが多く、特に「努力・友情・勝利」をテーマとした週刊少年ジャンプ連載の漫画には、『キャプテン翼』・『聖闘士星矢』・『SLAM DUNK』・『DEATH NOTE』・『銀魂』・『テニスの王子様』・『家庭教師ヒットマンREBORN!』など、やおい系二次創作の原作として人気の高いものが多い。漫画評論家・同人研究家の三崎尚人によると、2007年時点で女性向け同人誌の3割程度を週刊少年ジャンプ連載の漫画が占めているという。
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