危険責任に立脚する規定の例(工作物責任)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/21 21:23 UTC 版)
「危険責任」の記事における「危険責任に立脚する規定の例(工作物責任)」の解説
危険責任に立脚する規定の典型は、土地工作物等の所有者の責任を定めた民法717条1項ただし書である。 民法第717条第1項 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。 ここでは、土地の工作物という危険源を、占有又は所有という形で支配ないし管理している占有者又は所有者について、危険責任の観点から、立証責任の転換という負担や、無過失責任が正当化されると考えることができる(占有者の責任は中間責任とされる)。 なお、土地工作物(典型的には家屋)の所有者は、占有者とは異なり土地工作物に事実上の支配をなしてはいない。ゆえに危険をも支配していない。したがって、彼に危険を除去する義務を負わせることは不適当とも思われる。しかし、例えばその家屋が賃貸借により賃借人により占有されていた場合、その賃借人に経済的な資力がなかったとすると家屋から落下してきた瓦でケガをした者が損害を賠償してもらえず著しく不都合である。そこで、所有者は家屋を直接には支配していないけれども、賃借人を通じて間接的には支配していたのだから、不法行為の責任を負担させてもよいのではないか、という立法上の判断がなされることになる。不法行為を受けた者と占有者、所有者のいずれに責任を負担させるのが適当か、という責任負担の分配の問題である。
※この「危険責任に立脚する規定の例(工作物責任)」の解説は、「危険責任」の解説の一部です。
「危険責任に立脚する規定の例(工作物責任)」を含む「危険責任」の記事については、「危険責任」の概要を参照ください。
危険責任に立脚する規定の例(動物占有者等の責任)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/21 21:23 UTC 版)
「危険責任」の記事における「危険責任に立脚する規定の例(動物占有者等の責任)」の解説
また、現行法では民法第718条には動物占有者等の責任がある。 民法第718条第1項 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。 これは行為者がいないという場合の危険責任の規定である。行為者は(人ではない)動物であるが、動物に責任を負わせても仕方がないため、その動物を占有して危険を支配負担していたものは責任をもまた負うべきという考え方に基づく。
※この「危険責任に立脚する規定の例(動物占有者等の責任)」の解説は、「危険責任」の解説の一部です。
「危険責任に立脚する規定の例(動物占有者等の責任)」を含む「危険責任」の記事については、「危険責任」の概要を参照ください。
- 危険責任に立脚する規定の例のページへのリンク