危険負担の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 06:43 UTC 版)
不可抗力により目的物が滅失・毀損した場合には危険負担の問題となる。 仕事完成前の段階における目的物滅失・毀損による履行不能の場合、請負人の仕事完成義務は消滅し原則として報酬請求権を行使しえないほか費用償還請求権も有しない(536条1項)。注文者に帰責事由がある場合には、請負人は報酬請求権を失わないが、完成までに必要とされた費用等を注文者に償還しなければならない(536条2項、最判昭52・2・22民集31巻1号79頁)。 仕事完成後から引渡前の段階において、当事者のいずれの責めにも帰すことができない事由により目的物滅失・毀損が生じて履行不能となった場合については、536条1項適用説と534条適用説があった。しかし、2017年の改正で534条は削除された。 建設業においては、「危険負担」という概念そのものが、民法上の危険負担とは異なる概念として捉えられている。すなわち「土建請負契約にいう危険負担とは、工事の『受渡』にいたる間に請負人が工事において被った損害(なかんずく、不可抗力による損害)を、請負人又は注文者のいずれが負担すべきかという問題であって、必ずしも - いや、むしろほとんどすべての場合には - 請負人の履行不能に関するものではなくして、請負人の履行費用の負担に関するものである」というのが、建設業における「危険負担」の認識である。各種の建設請負約款においては危険負担について民法とは異なる定めを設けている。
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