当事者双方に帰責事由のない場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 02:59 UTC 版)
「履行不能」の記事における「当事者双方に帰責事由のない場合」の解説
契約による債務について、当事者双方に帰責事由のない履行不能(天災・戦争等の不可抗力、法令の改正等)の場合にも、危険負担の問題となり、この場合には存続上の牽連性が肯定されて債務者は反対給付を受ける権利を有しないこととなり(民法536条1項)、債権者は反対給付を免れる。なお、この場合にも債権者には解除権はない(民法543条但書)。 但し、特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合については特則があり、当該目的物に生じた滅失又は損傷は債権者の負担に帰するものとされている(民法534条1項)。不特定物が特定した場合にも、特定の時点以降については同様の処理がなされる(民法534条2項)。例えば、宅地として更地を購入する契約を締結した後登記移転前に当該更地が都市計画道路の予定地に指定された場合には、買主(債権者)は反対給付を免れないので、契約金額をそのまま支払わなければならない(減額請求もできない、民法563条参照)。この特則については、物権変動の意思主義と理論的に整合しており(民法176条。契約締結時に物権変動が起こる)、リスク負担のルールとしても一定の合理性がないわけではないが(例:中古車の売買契約後引渡し前に落雷でバンパーが焦げた)、特に滅失の場合には結論が過激であり(例:新築住宅の売買契約後引渡し前に落雷で全焼し滅失)、社会一般の法観念から乖離するとして批判されていた。
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