危険情報の効力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 18:56 UTC 版)
危険情報を含めた渡航情報は、一般的な参考情報(アドバイス)の領域であり、危険情報が発せられた地域への渡航を法的に抑止させるものではなく、また渡航情報の内容から渡航国の安全を保証されるものでもなく、実際に海外へ渡航する是非は当事者の判断に委ねられる。従って、勧告に従わないことにより、何らかの刑罰や不利益を受けるものではない。ただし、渡航することによって生命、身体又は財産の危険がある場合、外務大臣は旅券法第19条第1項第4号の規定に基づき、渡航予定者に対し旅券の返納を命じることができる。 危険情報は発出後1年で失効するが、失効までの間に情勢の変化で地域ごとの危険度が改められたり、解除されることが多い。なお、先進国等で治安が行き渡っており、危険情報を発する程度ではない状況下で、スリ・窃盗やぼったくり等、観光者を狙った犯罪に関わる注意喚起は「スポット情報」として発出される。 このため、治安が急変して危険情報が発せられた場合でも、当該国への運輸機関(空路等)が平常運行しており、渡航者の判断で渡航を見合わせる場合は、利用客都合のキャンセルと見なされ、運輸機関や宿泊施設などで所定の取消料が請求される場合が殆どである。手配旅行の場合も同様である。 一方、パッケージツアーは企画した各旅行会社の自主的な判断により、レベル3以上の危険情報が発せられると催行中止・旅行取り止めとなるパターンが殆どである。旅行開始後の現地で危険情報が発せられた場合は、旅行会社と緊密に連絡を取り合った上で、旅行者はホテルなど安全な所で待機したり、指示によって予定を短縮して帰国する。これらの場合は旅行会社都合でのキャンセルとして、旅行サービス未提供の範囲で代金を全額返金するか、情勢の沈静化を見計らって同等のパッケージツアーへ代替する策がとられる。2002年4月26日以前は、レベル2「観光旅行延期勧告」以上の場合、日本国政府から旅行会社に自粛を通達していたが、現在は日本国政府から通達を出すことはない。 レベル1やレベル2は、東南アジア諸国やインドなど、日本と馴染みの有る多くの国で指定されているため、旅行会社(現地担当者や添乗員)と旅行者が緊密に連絡を取り合ったり、危険地帯を避けるなどの回避策が取られている場合は実施する場合が多いが、旅行申し込み後に情勢の急変から危険情報が発せられた場合は、催行中止の場合と同様のキャンセル対応を受け付ける場合がある。
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