単拡大の行列表現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/23 14:46 UTC 版)
すべての単拡大 K(α)/K は K に成分をもつ行列環の部分体によって表現することができる。R が α の K 上の最小多項式で M が R の同伴行列であれば、M で生成される部分行列環 K(M) は体であり、写像 K(α) → {\displaystyle \to } K(M); f(α) ↦ {\displaystyle \mapsto } f(M) はすべての多項式 f に対して体同型である。 証明 証明のために、まず L = K(α) を基底が 1 = α0, α, ... , αn の K 上のベクトル空間と見ることができることに注意する。L のすべての元 t に対して、L のすべての元 x に対し x を tx に対応させる写像 φt は L から L への線型同型で、逆写像は x ↦ {\displaystyle \mapsto } x/t である。Mt を基底 1, α, ... , αn における φt の行列とする。すると写像 x ↦ {\displaystyle \mapsto } tkx の行列は Mtk であり、線型性により、f が K に係数をもつ多項式であれば、x ↦ {\displaystyle \mapsto } f(t)x の行列は f(Mt) である。α の K 上の最小多項式を R(X) = a0 + a1X + . . . + an-1 Xn-1 + Xn と書く。t = α であれば、すべての i < n-1 に対して φt(αi) = αi+1 であり、φt(αn-1) = -a0 - a1α - . . . - an-1 αn-1, したがって Mt は基底 (αi) に関して M の同伴行列である。 行列 M はこの性質を満たす唯一のものではないことに注意しよう。P-1MP の形のすべての行列もまた明らかにそれを満たす、なぜならば f(P-1MP) = P-1f(M) P だからだ。 K が環 A の分数体であり α が A 上整であれば、 R、したがって M は、A に成分をもつことにも注意しよう。環 A[α] は行列環 A[M] によって表現されることが従う。 行列環による単拡大の行列表現は実際的計算の計算機的代数において有用である、なぜならば演算が行列の演算に翻訳されるからだ。とくに、元のトレースは対応する行列のトレースであり、K 上のノルムは行列の行列式に等しい。さらに、構成のこの手順を繰り返して、多項式表現でできるように多項式の分解体の構成的表現を得ることができる。このためには多項式の既約因子の積への分解のアルゴリズム、例えば基礎体が有理数体の代数拡大であればクロネッカーのアルゴリズム、を準備すれば十分である。
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