医療面の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 10:08 UTC 版)
うつ病、パニック障害、広場恐怖症、統合失調症などの精神疾患が不登校の原因となっているか、または不登校の過程で精神疾患を併発している場合がある。著しい苦痛または日常生活に障害を引き起こしている症状がある場合には、精神疾患の疑いで、心療内科、精神科、神経科などを、出来る限り速やかに受診しなければならない。何らかの身体症状で他の診療科に通院している場合にも、精神疾患の可能性を疑う必要がある(治療法については、「うつ病#治療」「パニック障害#治療」「広場恐怖症#治療」「統合失調症#治療」を参照されたい)。 とくに、うつ状態は自殺につながるリスクがあり、軽症であっても、医療機関での治療をせずに放置することは危険である。しかし、10代のうつ病患者の行動は、反抗的、怠惰と評価されることが多く、受診につながりにくい。児童・思春期うつ病は、基本的には成人と同じ症状が出現するが、成人と比べて多い症状に、イライラ感、身体的愁訴(頭痛、腹痛など)、社交からの退避(不登校など)がある。また、他の精神障害(発達障害含む)、精神疾患と併存して出現することが多い。いずれにせよ、1年以内に軽快する症例が多いが、数年後あるいは成人になって再発する可能性は高い。なお、児童・思春期うつ病の6ヶ月有病率は、児童期で0.5-2.5%、思春期で2.0-8.0%とされており、思春期では成人とほぼ変わりが無い。また、後述するように、子どものうつ病は成人と比較して、より深刻な精神疾患である双極性障害、いわゆる躁(そう)うつ病の割合が高い(治療法については、「不定愁訴#管理」「双極性障害#治療」を参照されたい)。 他者と関わることに強い恐怖を感じる社交不安障害、予期しないパニック発作が繰り返し起こるパニック障害、無意味な強迫観念や強迫行為にとらわれる強迫性障害などもまた、不登校との関連性が高い(後述)。朝起きられない、夜眠れないなどといった睡眠障害も不登校と関係する。これらの患者がうつ病など他の精神疾患を併発している場合もある(治療法については、「社交不安障害#治療」「パニック障害#治療」「強迫性障害#治療」「睡眠障害#診断と治療の原則」を参照されたい)。 自閉症スペクトラム障害や注意欠陥・多動性障害(AD/HD)などの発達障害、さらには軽度の精神遅滞(知的障害)も不登校に関係している場合がある。これらの疑われる場合もまた、医療機関、専門機関と相談することが望ましい。また、発達障害の併存症(二次障害)として他の精神疾患が現れることもある。同様に、精神遅滞者の約10-40%には他の精神疾患も見られる(治療法については、「自閉症スペクトラム障害#管理」「注意欠陥・多動性障害#生活への影響」を参照されたい)。
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